鮮やかなスカーフ1枚とりゐだす気分転換おとづれる春
強烈に気分転換必要になるほど耳は脳に直結
まぼろしの小川およぐ稚魚の群れすいすいすいといづこへむかふ
せせらぎの聞こえる小川いつまでもどこまでもまた水は流るる
澄み切った青青い空駆け抜ける雲雀にも似た歌声するかな
さらさらと流るる水の清ければ稚魚多かりし育ちゆくなり
いろどりは空の茜に見えにしも夕暮るる山みどりは映えで
世の中で一番かなしむべきことは妻のわるぐちいふ夫なり
意地悪く世界を見れば今日もまた鬼が笑ふえへへと笑ふ
通販のカタログなどをめくりおり春風かほる服を探せり
春といふ中途半端な季節にはさむさこらえつ花はかほれり
パンジーの苗でも植えておけばなど後悔しせる真冬の今
精神の枯れ草のごともふ朝は霜の大地に晴天を待つ
軽いジャズうららな冬によくにあふマイナスイオン稼動に雑じり
こりもせずフレンチ話すサウンドは同じところで笑い悲しみ
ひさしぶりライナーノーツながめおり「オレマ カ・カ・カ」の意味を知る朝
あわただしいわが心には音色だけひびけばよいと言の葉を切る
アフリカ語フレンチ経由カフェの曲いつのまにやら耳慣れた音
短歌など詠んでいるけど歌詞などはすっとばしたるアフリカの曲
ほしいのはリズムだけだと気づく朝ラッパは話すドラムに乗つて
酔つぱらいまほろな夢を追いもとむ稚児にも似たり紅い頬して
デニーズでおもちゃをながむ子等のごとわが想念は追いたてられし
サラリーマンランチタイムに向いおり流るる声で上座をつくり
メモとペンガサッとほふる本の上いつもと違ふ音響きおり
背のうと書かれていてもわからない児童書を読む教科書のごとく
見知らない言葉はやがて死にゆくも知らないほうが無知と呼ばらる
異国より移住しせし友と遊びたる夫もまた今は遊牧民か
就職にあぶれて増える院生の寄宿暮らしの不思議なさまよ
失業のあふるイラクの暴動は人間的で素朴でもあり
やんわりと糸に縛らる手足かな餓えもなければ満腹もなし
思はざる時雨ふりだす夕暮れに吾子帰りぬと講習そぞろ
自動ドアとどろくやうに鳴りゆかばあしばやぬける風と靴音
茂吉歌論読みてつぶせし待ち時間あらば格調なきは素朴さ
子を待ちて過ごす時間の長ければやがては吾は動けぬ人に
「おかえり」というがわれの仕事なり時は短く気長になりし
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りんどさん、もうすこしやんわりとした女性らしい歌が詠めませんか?
えええ・・・・・・
(単なる自問自答です。)
正午にて鳩時計鳴りかきまわすカップの中は熱きコーヒー
朝霜につつまれたなら白き原雑草刈を憂へることなく
ぼんやりとこうしてる間にやることもあるのではないか小春日和よ
真昼にも斜めにうつる窓の翳落ち急ぐのを止められもせず
ジャンキーの傷害事件また一つまたかとおもふわれに驚き
暗闇になれてしまつたわが眼には電子文字さえ君をうつせり
雨の朝ごみを捨てゆき並びては差し出す傘も迷惑なるかな
一刻をあらそうやうな朝支度回覧文書はポストにゐらぬ
しんと降る雪は白きに青ざめて瞳の中に儚くも消ゆ
◇ご返歌
オリオン座ゆるり冬空めぐりゆくみるも宿題新学期かな
おかしらの食べれなかつた子ども頃包丁持つも成長ゆえか
落つることおもはなければ空もなほ光かがやく夢のひらける
窓の外一羽の鳥が横切つた雲雀のやうな雀のやうな
ひらりひらり落つる白ゆき寂しげに今がまふゆとこごえではなす
年末の挨拶もなく轟音は夏の週末うなりゆきすぐ
白波の飛沫を雨とまちがふも赤旗は舞ひ波に惹かるる
なにもかも空騒ぎたるざわめきに音色しみゐるアコースティック
時を超へふと気がつけばあの人も紀元前におなじこといふ
地球にはそれが罪だと気づくほど洗練された猿の住まへる
悲しみはふんわりとした雪のうえゆきかふ人の足跡のやう
粉雪のぱらぱら落つる歩道には帽子とダウンの自転車がすぎ
誰と誰が不倫してると言ったって彼はわたしの夫じゃないの
現実に飽きたらそこは映画館おにさんこちら手の鳴るほうへ
降りたると気づかぬほどの粉雪は風に舞い立ち落つる花びら
しんしんと指先だけが冷えてゆく寒さ感じるあたたかき皮膚
冷えた手を肩をもみつつあたためる便利なわがみ雪ふる日には
ひとつひとつジグソーパズル解くようにユゴーと遊ぶおもしろきかな
シンプルな言葉の羅列鮮烈にメタファーのなかゆきつもどりつ
敷島をほっぷすてっぷじゃんぷして大西洋を行つたり来たり
凧揚げに行きたいからと風の子はピザ一枚で店を飛び出し
無理やりに歌など詠んでみたものの気分は虚ろはるうららかな
善きことはだまつてやるがうるわしくそうぞうしきは歯医者の音
60点漢字テストを隠したる吾子の罪かな親の罰かな
吾子叱る夫を叱つてけふもまたヒステリーなど理屈でにごす
まほちゃんはのんびり育てすくすくと可愛いままで愛を育み
父さんは勉強ばかりしてたから勉強しないと案ずる親に
母さんは勉強してると怒られた遊ぶときには真剣なれと
もう一人男の子などいたならば期待はそちら視線はそつち
一人つ子甘やかしては親のそば離れぬことをほくそえむ吾
朝焼けの黄金に燃やすカーテンを見やる間もなき寝坊した日は
◇ご返歌
夢みるは自恃あるだけ人の渦もとむるものの違いやいかに
空手には何の興味もないけれどマス大山は励ましとなり
大山はひたすら強くなりたかつた敗戦の中一撃となる
パソコンを裏からながむ不思議さよ枝豆の皿と並び置かれり
サイバーで誹謗・中傷阻止するはモラルなどよりタグが頼りか
箱などは閉せばおはるかおはらぬか相手次第という人のあり
通信の機器と期待しパソコンは世界へ拓くややこしき箱
ネットには翻訳ソフト必要と言はれてた頃夢などありき
アップルの可愛い箱の並びたる実験室のなつかしきかな
青き光の立ちのぼらむマリアさまとおき世界へみちびかれゆく
江戸のみち粋に歌詠む人のあり言問だんごは今も変はらず
団子坂自転車泣かせの上り坂江戸はつづきぬ下町の道
谷中墓地階段に立ち見晴らすはうすい青空灰色の雲
日光の東照宮の猿山はみざるいわざるきかざる家康
猿山におやつを持って入りなば持っていくのが悪いといふ
猿山の紅葉たるや美しき気にしていては見過ごすばかり
いろは坂難所も名所今の世はヘアピンカーブちりぬるは瞬間(とき)
猿山でのんびり秋を楽しみし人こそ晴れて戦国終はる
人情を追い求めたくば北へ行き振り払いたくば南へすすむ
南風吹くや熱帯の椰子陰に銀の光はたゆたいとどむ
淡々とひとりの世界すすめよとささやく風は道をあゆまぬ
咲く花の澪つくしなどさがせども姿形の園にうつるる
終焉にちかづくほどに坂道は大いなる月樹樹に隠せり
(娘をお絵かき教室へお迎えに行く時に見た黄色い満月は大きかった。)
経済の動向などは予算と呼ぶつくばの街は学問の神の鎮座する山
科学都市未来へ向けて淡々と緑の中にロケットの立つ
人類の未来が走るわが街は今も昔もみどりうるはし
ちはやぶる神代の園から筑波嶺はしばし揺れつも活断層なし
懐に興味なくても経済をおしえる人のあまた住みたる
オレンジの輸入自由化嫌がらせ電話のつづく研究室か
筑波嶺の山はしづかにたたずみぬ歌に謳わる姿のこしつ
大きくも高くもない筑波山ふたこぶらくだのひつそり寝をる
山並みは津々浦々につづけども筑波の山は筑波の山なり
山里の延々つづくを眺むるが関東平野はあまりに広く
筑波嶺の低き山より眺むれば街はつづきぬ富士の裾野へ
ススキの穂富士より高くそびえをり微かに上がる花火見おろす
ドライヤー朝からあてる熱風に凍つた髪はぼうぼうとなる
あさ6じ早起きむすめ餅をはむあと30分寝かせて 寒い
夜明け前いつもと同じ朝だけど学校といふ緊張はじまる
夜明けとはこんなにおそいものかなと時計をにらむ始業式の日
わがために買つた児童書『レ・ミゼラブル』朝の娘のひまつぶしかな
『ああ無情』といふ本はなき今は『レ・ミゼラブル』といふ『ああ無情』
ゆつくりと朝のはじまる気配するキッチンの窓あおく透けゆき
寝転んで本を読むクセ母ゆずりつまらぬことほど伝えゆくなり
冬枯れに花の咲かない窓辺にも朝焼け映し葉は輝けり
ひとひらの風の運びし言の葉の枯葉のやうに舞う小道かな
ゆきだるま蹴飛ばしたいなあたたかき冬の陽だまりのんびりおもゆ
鳥の声丹頂鶴の懐かしき北の大地は雪ごもりかな
シベリアへ飛び立つ日まで雪景色鶴の避寒地北の大地よ
パリの地で幻の鳥夢見てたロートレアモン鶴を描きし
東洋の神秘のやみは鶴の夢蛍の幻影ゆくり流れゆ
ランボーの語りし海は一枚の絵の中にある空白の色
花の時期しづかに待つや冬の陽に春の気配は土の中より
おひさまの届かぬつちのくらやみは温もりだけがすべて 水仙
雪どけは土の中からはじまつて泥にまみれて春はおとづれ
ぽつかりと頭上に浮かぶ満月をふりきりキーを差し込むわたし
与はれた愛をことほぎ伝えゆく一人の人から一人の人へと
街をゆくしたたかなるや冬風よゴミの蓋だけ谷にころがし
街路樹のライトも消えるお正月学生街は枯れ葉とともに
元旦の学生街はひっそりと枯れ葉揺らして風は吹きゆく
申年はみざるいわざるきかざると猿に出遭った心得を得る
ココナツの匂いを不意に思い出す光の中のまばゆき碧
言葉など風に吹かれて飛んでゆく潮風のなか無邪気に歩き
東には陽の射すことの少なかれ低き大地はビル翳となる
マレーシア空港あるく黒ベール眼の遭ひてはしづかに逸らす
黒ベールの母は無邪気にはしゃぎをり中東の子ら潮風吹かれ
アカシアの葉陰にゆらる東陽は冬窓撃ちて吾で止まれり
こころねのあしきものにも春は来るのどけきひかりみえにしあらば
純さんの年初のぼやき始まりぬ国のため死すを悪と言はれては
朝焼けにはらりとかかる前髪を鏡に向かい少しだけ切る
すみわたる冬の月夜は隔絶にツルゲーネフの『乞食』の似合ふ
貧困といふのは嘘だ虚無なればげにあらずやと愛に飢えたる
父母に届けるために列ならぶアフガンの子の笑顔明るき
道標のつづきぬ路を走らせる問題は今われのいる位置
しあわせかと問わるるならばしあわせとこたえるしかないつくばの春よ
波音のしぐれゆくまま夕暮るる海はしづかに大地をつなぐ
芍薬のえがかれしわが振袖は12歳のころのわれの身丈よ
くつきりと記憶のなかに咲きし花名を知るべし想ひ悲しき
いつついろかぞへてみつつわれはなほいろをのこせり生きる狭間に
断片を拾い集めて言の葉のゆらりゆられて小町の里へ
新治は筑波の裾野つづくみち山並みうらら花降る里へと
魂の抜け殻となり骸骨になりて詠える悲しき人よ
君が恋つらかりしこと多ければ花は愛でらる野はひろらけり
初夏の風そよ吹く頃は薔薇園に花咲き乱れわれを誘ふ
青き山かげを落としつたたずみし静かな森のしんしん続く
平安の都のかげのうつろいし時は幻変わらぬものかな
今ここに生きたるわれのともしびは古人の憂いをうくし
悲しみはまた寂しけれ夕暮るる山沈みゆく目隠しのごとく
傍らに夢見るやうな吾のいる知らない吾のひとりごちても
Blue sky, you leave me the sky you are...so われは昇りし儚き虹を
陽は昇り陽はめぐりゆく天空を翔ける月日の今年も明くる
打ち上げの花火の音の鳴り響く空見上げても月光るだけ
フィオナの声の向こう側新年祝す花火は鳴る鳴る
連発の花火の音に誘われて西の彼方に月はまばゆく
除夜の鐘きこえぬ年に下弦月しづかに光り誘われる吾
不意打ちの戦闘となる可能性石油とともに眠るイラクか
世界中紛争地帯は多けれどいまの暮らしは石油にたより
わが歌の生まれいづるもCGIペンではなぜに詠えないのか
書初めに筆をなぞらす感覚をわが手覚えているだらうか
書くことは猛スピードで速くなる読むことは遅くなりぬる
正月をCGIに向かひては歌を詠むなりニュースは横目
のんびりと墨摺るやうに過ごす暇いつしか過ぎる言葉あらわる
硯中消えてしまつた言の葉も今は現るパソコンの中
内言につつましやかに死に絶へた言葉も今はリアルタイムで
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透明にうつる板よりかすれても雰囲気だけを大切にする
ボツ短歌並べてうれし気まぐれなそんな板もあつてよいかな
背景とマッチしない色あわせ正月早々更新しせり