クリスマスの薔薇の季節の訪れは道行く人ら通りゆかば
冴え冴えと太陽凍る芝のうえ朝靄さえも春を待つらん
背の高き薔薇にみそらの神さまのみ姿のありクリスマスには
リースをも飾る季節も薔薇の花静かなり咲くたおやかな冬
ヨハネ 20.9
ファティマのマリアの夢の子らの声うつらうつらと透きとおりぬ
幻想の声なるや落雷の音のさやけき宴なるかな
見よ、われら雲まつや雨そらへそらへと海へ海へと
世界には宇宙の果てがあるのかと宇宙には風吹かないやもと神の息吹に
ケセラセラ、サタンの歌の聞こえしを、ケセラセラ、海、静かなる海ぞ
潮騒のきこえぬ海の太陽はてらさぬように椰子の実のうえ
ヨブ 9.14-35
さながらに笑いだすのをこらえては夢のかなたにもどりては消ゆ
遠まわりされどみちなきは遠まわり回転木馬のまわりゆくさま
幼き日コーヒーカップにめをまわす花やしきにぞ時の戻りつ
山波に波重ねつつうらうらのうつつの原の不可思議な夢
パソコンに人の気配を感ずるぞ摩訶不思議なり、箱の向こうは
冒涜と言われてぞなお神さまとお話をする、鳥の鳴く朝
ひねもすのすぎゆくは生まれた日より数えては、あたりまえなど誰が知ろうぞ
与えては与えられたり夢の跡 遠き波とてうずくまりぬ海
故郷と思えと思えば悲しけりすぎゆく風に断片の野は
さすらえば今ながれゆくここちする海ぞ山ぞ空ぞとは浮かぶ月
遠まわり星は浮かびぬ闇のなか、照らす月さえ形かえゆく
サウルと呼ぶはイエズスの声のなかだに光る月みつけ神の夢みるがごと
(使徒 11. 22-26)
バルナバが探したとき、パウロはどこにいたのでしょう。
ふと思ってしまった。
旅立ちてゆくや野々山吹く風の便りの声の木霊のゆくえ
みこころに尋ねてみるや雲の中稲光せし夕暮るるみち
遥かなる神の国など思いても信号機だに色を変えたり
(シラ 11. 10-28)
<季節外れの紫陽花>
雲ゆかば透きとおる空見あげても雨したたるは花のうえにか
うっそうと葉のしげりたる地の下に明日咲かせるは雨の紫陽花
花ひらく気配のなかでひっそりと口つぐみたる楽そえた風
明日のこと思うとて晴れるひざしには傘となる花いろどりを消す
むらさきは透明ないろ光にぞ消えゆかんとすまぶしき空に
いのちたる地と葉のもとであめ落つる紫陽花の空みあげん隙間
(ローマ 1. 6)
暑い日も台風の日もお出かけが一日伸びる夏休み
雨の音軽やかに撥ね窓の外薄明りさし唸るエンジン
あわただしい雨の音には幾重にもドア閉める音通りの車
エアコンが肌寒くても止められないハープの弦の弱さ思えば
ゆきませう平和のうちにガリラヤは地図の世界の小さなドット
さわさわと葉の騒ぐ音買い物がめんどうになる台風の雨
神さまに今望むのは午後の雨あがってほしい仕事待つ朝
(ルカ 4. 42-43)
アクティブ、アクティブ・・・
ためいき。
<幼き野原の夢>
てのひらに冷たき香り野の夢の幼き頃の夕暮るるまで
通学路夢の世界が広がればいざゆかん時忘るるまで
日没にカラスが鳴けば今日もまた寄り道したと帰宅を急ぐ
野原には夢の世界が広がりつ夕焼けのみち家路につづく
家路にぞ二本の道をみつけては秘密の気配冒険の時
(列王記 8. 1)
休みの日明日の仕事をおもったら明日のほうがまだましかも
今日もまた熱射病になりそうな運転席とアツいハンドル
ガソリン代書かれたシート窓の外記憶するだけ街路樹は立つ
流れゆく風さえ燃えて閉じた窓いつになれば閑散な道
ひんやりと日傘のしたにもぐりこむ空間だけがわたしの時間
飛行機のとぶ音すれば昼下がり犬の足音テーブルの下
(マルコ14. 27-28)
ミニチュアにレモンの香りエーゲ海・・・サントリーニに、コープが来ます
よつ葉こそ今度はつづけ汗だくのあなたの熱意にハンコ押す
ボーナスの計算せねば銀行は3時までだよ 忘れちゃいます
看護師の退職金を数えつつ浮かぬ顔みて給与計算
太陽よ雲のかげに隠れてよ日傘たたむのめんどくさいから
使徒 10. 23-26
無為という時間のなかに凍えては椿のうえに雪は降るらむ
積もりては雪なるや悲し寒椿陽のかげる日の愛というもの
栄光は父と子と聖霊に、椿の花に雪は積もらむ
復活を信じてや待つここちする今宵には椿はなぜに冬落つるやも
雪化粧むなしくや花びら消えゆ春くればまた葉の色変わりぬ
(使徒 14. 8-11)
ハルマゲドンきてもしぶとく生き残る不安をかかえ路上をながむ
潰すなら潰せと思うがのんびりと自転車は過ぐ車を避けて
群れなせば背丈も伸びしすみれかな水乾きてはつちを仰ぎ見
へび草の根のつよさにも憧るるすみれの花のいずこ風吹く
よわいのかつよいのかただ思いてはみこころのままみちのうえにか
エズラ(ラテン) 13. 20-24
<アッシジの街>
ウンブリア光と闇を背負いては月駆けのぼる夕暮れの山
明るさは鳥となり人怒鳴り合う荒々しさに透きとおる空
シスタームーン ブラザーサン 夕暮るる空ふふみつつ鳥
丘のうえ石の街あるく頭上には陽だに輝き教会の鐘
混沌と聖なる丘は鳩飛ばし座る人とて宙に浮かびし
(ヨハネ 19. 31-32)
陽だまりや枯葉の音をとめるとは天使の羽に目を凝らす吾
透きとおる風のむこうの陽だまりに知らずてか鳥いるなら歌え
木洩れ日よ教えておくれ雲あらば暗き道なれ空みえぬ吾に
(マタイ 13. 24-30)
<毒麦ですか・・・途中から熱帯のジャングルへワープしました>
潮騒に遠のけば陽の落ちるまでさわさわと風とまりしや今
熱帯のこみちをゆくや水の色いざなうや青まぶしきは砂
冷たきは砂触れぬも砂燃ゆる陽の頭上にありて波だによする
野にひとつパウロのとげの刺さりてはながるる時のすぎゆくままに
弱きとてつよきとてまた弱きとてまにまに天は薄日のさしぬ
天国にうつむきのぼる楽の音の仰ぎみんとてうつろな空を
イエズスよパウロのとげを抜きたもう刺したもう月くらやみ照らす
よわきものもとめるがゆえ天の声耳澄ましては消えゆかんとす
暗闇ぞ光りたもうぞみこころの天使の梯子かけのぼる音
(マルコ 6. 51)
<草刈り>
へび草の根ののびゆくはどくだみの白き花さえ蠱惑となれば
紫外線さえぎるもののなき庭の刈り取る草のこかげに座る
薔薇の木の誰が植えたかと物干しに雑巾並ぶご奉仕の春
子ら遊ぶ庭にせんとて草刈は小石の姿置き去りにして
大声で叫ぶがごとし草端の会議のネタは葬式のこと
優雅とはほど遠き庭じりじりともゆる陽落とす赤き野の花
(列王記下 23. 21)
<カフェバー>
妻という冷たきひとに想い寄す夫の隣にぞ化粧濃きひと
合コンで盛り上がりつつ若者につられし謎の微笑みありき
女より小犬がよいか若者よ口説く先さえさだまりもせず
1ヒットするなら狙えわかきひと固まりとけずうちとけもせず
君狙うわが娘は留守で盛りあがる席はなれてぞ母の傍にか
うちとけて話す吾にぞ送る目の冷たきほむら きみうつくしき
わかものよ こいぬも女みな女それではもゆる夏とおかりし
エズラ(ラテン) 13. 48-50
売春婦、ひまわりにして夏の空神父の腕を止まり木にして
侮蔑とは目をそらしたる聖職の十字架の下、眺むる吾にか
バカバカしああバカバカし老婆の園のバラの木の枝
神さまに礼状書けと自慢げに懐を背に誰に渡すぞ
飛行機代 出せば受け取り 少ないね そのひとことにけだるさの牛
<福島>
ガイガーの数字の向こうに群れなすは飼い主のない牛、ひだまりぬ
中学に熊がいるとのアナウンス無人となりし駅舎の空に
爪痕も無人となれば劇場のセットのような駅前通り
住宅地 なだらかな丘ひそひそと身をひそめたるカフェで飲むお茶
窓あけて窓しめて外流れゆく景色の中に昔みた店
町役場 立派になりて気がつかず消えた百足家城のようなり
歳月の流れゆくまにふくしまは世界の人の知るぞ田畑も
(歴代誌上 3. 1-9)
梅雨の月釈然とせずホスチアのウエハスを食み、飲み干す夜空
詩篇8 首に纏いた吾を見し 姉の首にぞ小粒の真珠
ハンドル名 ふたつ並べてシンクロのゆかしき謎の多き吾には
刹那かな 死せと言うのか喩ゆともあゆむがごとく花の下にぞ
イエスさま あなたは月で人となりみ心のまま見し神のかげなる、
イエスさま あなたは仰せになりました 語らずとも黙せとも言わず
神父様、若い とつぶやくあなたこそ華やぎて春真珠のごとし
司祭たる月のそのまた月として輝くあなたは誰そ イエズス
華やぎを春とみたてしそのひとは春の花より寄り添いて閉す
殉教の司教のために祈りても風吹くや笑み吹きて止まらず
すっぴんを閉すがごとく白化粧 遠き三日月眺むるが空
背をまるめ胸をはり背をのばし切れた弦の届くのを待つ
(使徒 12. 9-10)