売春婦、ひまわりにして夏の空神父の腕を止まり木にして
侮蔑とは目をそらしたる聖職の十字架の下、眺むる吾にか
バカバカしああバカバカし老婆の園のバラの木の枝
神さまに礼状書けと自慢げに懐を背に誰に渡すぞ
飛行機代 出せば受け取り 少ないね そのひとことにけだるさの牛
<福島>
ガイガーの数字の向こうに群れなすは飼い主のない牛、ひだまりぬ
中学に熊がいるとのアナウンス無人となりし駅舎の空に
爪痕も無人となれば劇場のセットのような駅前通り
住宅地 なだらかな丘ひそひそと身をひそめたるカフェで飲むお茶
窓あけて窓しめて外流れゆく景色の中に昔みた店
町役場 立派になりて気がつかず消えた百足家城のようなり
歳月の流れゆくまにふくしまは世界の人の知るぞ田畑も
(歴代誌上 3. 1-9)