月みれば、ハンドルもたれ運転す。低きオレンジ輝ける空。
月みれば、われにかえりぬ秋ふけぬ。雨は遠のき窓くもりゆく。
誰が決める決める決めない決めごともそしきのようないぶかしい木木
この枝はいづこの枝にくっつくか調べてむなし根は深き土
疲れ果つたたかいの日をすごすかのあらくさのびし今つかのまは
ばらの花ぽんぽんダリアの咲くように大きくのびた影に小ばら咲き
自転車がフロントガラス横切って真横にながむ隣人の未知
カーテンの向こうでうたううたごえにハモつてみれば老女は寝たり
世の中がのんびりすぎて走馬灯ながめるようだ、風邪の循環。
疾風になって憂きこと飛ばしたい。かたばみの花、かたまりつ咲く。
わるテンを育ててくれた羽根布団丸洗いして庭に丸干し
すんなりとゆくはずもなくすんなりと向かってしまう扉の向こう
二日間休んだだけで大騒ぎとんだ学校入ったものだ
初テストそろそろ近い新緑の道のあらくさ刈る間なき朝
イヤリングいくつか買って夏の日を想いやるのも光うすき陽
かたばみの葉のかたち模すジュエリーが流行っておりし黄の花咲かぬ
2006-05-22 10:11:27
要するに、外へ出たいとおもっても、ハンドル捨てて行く由もなく。
マロニエの花咲く季節。鬱蒼と空、空々し悲しき曇り。
トラピスト知る由もなく閉ざされたシトーの扉青き地中海
ネットはね、いろんなことを教えてくれる。子の頃のすきま吹く風。
マドレーヌ、誰が呼びおりし蝋燭のほむらたまゆらあまた輝き
その人は、リタという名と今なぜか漠と知りたり、あまたたまさか。
少しずつ知らぬ記憶があるのなら糸たぐりつつ踏む空青く
御マリアは黙っておりしいつもまた乳白色の寡黙の湖だ
わがままなじぶんがもどってくるような寒波と夏の入り混じる春
雑然と紅く主張をするような躑躅の花のみどりなき今
葉の色の桜似合うて八重桜灼熱の春たまゆらな風
わるテンの靴をさらって逃げ出せばソファの上に噛み傷だらけ
ボタンつけ、同じボタンが取れかかる魔のジャケツの置き場の子犬
バテュの時動きださない夜更けにも夕暮れ時は美しくあり
さわさわと、落ち着かぬ春、真夏日の、抜くか迷った躑躅赤々