開業医なるかならぬか台風は吾子の成績雨垂れの音
だるだるで人生さえも子のいつか旅立つときに身をたがえたる
俵万智今頃見つけしらじらと和歌か短歌か東雲はなき
だるだるでどこへ行こうが中学はチュウボウつどう校庭の土
優秀になってうれしき共稼ぎ。わたしはヒマな主婦がよろしい。
憲法を変えてくれぬか勤労の義務が嫌いだ、あれこれ思う。
バルテュスは絵画5枚でグランシャレ買いつ候値のありがごと
給料を比べておりし2ちゃんねる、あぅ、壮絶だ。2年後を待つ。
英霊よ、死んだ後まで利用され、君たちの死はいくどおとづれ。
名月よ、朧月夜に名を借りて、怪しい闇が虎のようだね。
水の中、弔う空の輝きが映りもせぬか、嵐の夜には。
そうやって水の中にはいくせんのいのちの声の届かない空
中秋の名月はまた光つつ遮る雲がやけに黒黒
靖国はどうでもいいが、英霊よ、君たちの死は何だったのか。
天皇とか、戦争とかね・・・あっさり言えば、憲法そのものを無くしたら? それでもあるものはあるのだろうし、ないものはないのだろうし、何も変わらない。
東大に行きたいという娘にぞ押されて今はうたよむ気なく
赤ペンで吾子の漢字正しては心細げに辞書引いてみる
楽天家、のんきな吾子はナポレオン。小学用の辞典を使う。
ざくろの木葉の生い茂り高らかに手の届かないざくろの実生る
戦闘機かっこいいなと眺めては本物の空飛んでいる基地
人形のサンダーバードはいつの日か忘られて今空飛ぶのかと
教師には教師の夢があるのかと狭い山には広い空あり
だるだるで学費稼いで子らのこと教師に託す、田舎の暮らし。
のんびりとパラサイト主婦家の中、吾子には吾子の生活があり。
一日が終わってゆくのが速すぎる。未読の本がたまっておりし
新古本ワゴンの中に並びたるドラッグストア垣間見し今
もうすべて終わったことと辞書ですらワゴンセールで積まれておりし
雰囲気とカリキュラムだと先生は昔の顔で笑っていたが
古臭く新し臭く病院の匂いのような教室の中
世の中はいろんな子らといろいろな教室の数無機質にあり
子の未来、歩く現代、現実の、近くて遠い校庭をみる。
先生が子どもの顔で微笑めば生徒の顔も子のまま笑う
鬱蒼と何が何だかわからない今の時代は予測されおり
税務署が決めるのかしら?わたくしが歌人であるとかないとか、悩む。
商売は数の論理と人の波争わせては予算に変える
だるだるで一冊売って申告し歌人になって名刺も買えぬ
クレジット、未来予測の近未来、遠未来には年金ありき。
若さには未来指数の高さあり。明日はどうなる風吹かぬとて。
ため息は未来の風に落とすもの、実績という不確かな数。
作品は減りもしないと増えつづくただ売れもせぬ売りもしないが
虫の音の賑やかに鳴く秋の世になっちまったか、蒸し暑き夜。
当事者かそれ以外かと国会は誰のためにぞ行われぬる
自立って素晴らしいかと秋の夜は虫の音運ぶ蝉去りぬ今
夏は蝉、秋には秋の秋の虫。秋のバッタは寡黙な草に。
わたしっていつも何かを考えて何もしないでコインを投げる。
コインすら裏と表があるのなら在るってことはわかれみち、いづ。
汗だくで戻りきぬ吾子背中にはいまだピンクのランドセル負ふ