June 16, 2008

不自然にとりのこされてしまったか吾が庭の木の葉も実も花も

フェンス越し紫陽花の花うつむいて遠巻きに雨降りたるを知る
鬱蒼と重なりあったなつかしき木木少しだけ花と実残す
窓の外右へ左へ人歩き犬めずらしく昼寝忘れる
生真面目に歩く人らは真四角に新芽の生えた柘植の木を切る
請求書ポストの中に残されて残骸のなき梅雨空を待つ
不自然にとりのこされてしまったか吾が庭の木の葉も実も花も

投稿者 Blue Wind : 03:38 AM | コメント (0) | トラックバック

June 15, 2008

旅は道連れ

塔の永田先生の講演会が水戸であるというので、娘を連れて久しぶりに電車に乗った。水戸へは仕事では何度か行ったことがあるが、電車で行くのは初めて。窓の外に牛がいた。おおおおおおおおお・・・・・となったのは言うまでもないだろう。少なくても高速道路沿いで牛を見たことはない。

印象?
印象??
印牛???

一番印象に残ったのは、牛が昼寝していると思ったとたんに民家と駅の風景が窓の外にやってきたことだし、娘に、「お母さん、場違いだね」と言われたことかもしれないし、場違いは場違いなりに娘とわたしはそれなりに楽しんでいたため、家に戻るなり例のごとくお腹をすかせたダンナの説教と愚痴を聞き、それでも彼が夕飯をひとりで宅配のピザで済ませてくれたということは、やはり娘を連れて行って正解だったとしか言いようがない。

講演会と懇親会の印象は、なんとなく大学を卒業したばかりの頃学会へ行き、先生に挨拶に行ったときの印象にも似ている。学会では先生は偉いのだなと感じたのと、研究者を志す以上自分もまたそうやって高きを仰いで早く一人前になって人に認められて、腰を低くしてがんばらねばならない、という空気が充満する中、どこか場違いで、浮いていたことを思い出す。

娘はあまりにも自然体でその場にいたため、中学生や高校生の歌人と間違われていた。実際にそうだったらわたしもうれしいのだけれど、娘はにこにこしているだけで、くま先生が幼稚園の頃からずっと娘を褒めてくれていたせいか、褒められても彼女はいつもにこにこしているだけ。

ただ、ふたりでなんとなく雨が降ってきたとか牛がいたとかいないとか言いながら車窓を眺めて電車に乗っていると、ちょっと旅行へ行ってきたような気分。無理して仕事を休んでよかった。

投稿者 Blue Wind : 03:10 AM | コメント (0) | トラックバック

除草剤まかれちまつたわが庭のさつぱりとした6月の雨

年配にならんでしまった配列はペットボトルのドミノの予感
あとすこしスイカまでそこ、とどかぬはひとのとどかぬ轍なきイス
ひとよりも鎮座ましますお鞄のならんだイスの兄弟仁義

窓の外ホルシュタインはにわか雨にわか列車におひるねもどき
めのまえを植物図鑑とつぶやいてさわさわと風ガンメタリック

除草剤まかれちまつたわが庭のさつぱりとした6月の雨

投稿者 Blue Wind : 01:09 AM | コメント (0) | トラックバック