December 15, 2010

生保パラダイス?

生活保護の患者さんがいる。すでに3年以上通院していると思う。お子さんが4人いて、賑やかな家族だ。

ある日、障害センターから連絡があり、高校生になる長男ために医師意見書を書いてくれるかどうか問い合わせがあった。医師が手が離せなかったため、いつもの医療券の意見書だと勘違いし、受付の子が送付してくれるように答えた。数日して、送られてきた中身を確認すると、本当に障害福祉課からの書類が入っていた。

うちのクリニックで議論になったのは、あの子が本当に発達遅滞で、知的障害者かどうかということ。うちは内科なので、これまでに数回風邪などで診察したくらいで、ほとんど精神的な障害については記憶がない。そこで両親と一緒に来てもらうことにした。

わたしはそのどちらにも直接居合わせなかったのでよく知らないが、わたしの印象では、緊張すると少しどもるクセがあるほかは、あの家族の中では至ってまともで、今まで普通の高校に通っていると思っていた。ほかの子たちにも然り。

ところが、親が言うには、どの子も障害者で、すでにそういう学校に通わせているらしい。

皆、驚いた。

聞きたくなくても、父親の声が大きいので、診察室の話は筒抜け。一番上と下のお子さんを除くと、どの子も普通の子たちである。でも、障害者と言うからには、誰かが意見書を書いたのだろうし、ならばその意見書を書いた医師に頼めばよいのに、どういうわけかうちのほうに依頼が来ている。誰に書いてもらったのか訊いてもわからないと言う。

そこで、うちでは書けないから、然るべく精神科のほうを受診し、そちらで書いてもらうように親に伝えたらすぐに障害福祉課から連絡があり、受付で送ってくれるように言われたから書類を送ったのに、書けないというのはどういうことかとかなりきつい口調で言われたと、言われた。

***

どういうことなのか話が見えないので、今日、わたしが市役所に連絡した。電話口の人が3人代わり、ようやく担当らしき人が電話に出た。

とりあえず、うちでは親の消化器のほうは診ているけれども、お子さん達は風邪などで来ているだけだし、そういう話は初めて伺ったので対応に苦慮している旨を伝えたら、書類は破棄してくれて構わないと言われた。

そこでさりげなく、こちらのほうから、「あのお子さんたちは皆障害者なんですか?」と尋ねたら、「どこでその話を訊いたんですか」と逆に問われた。もちろん、ご本人からである。もし、本当にあの子たちが障害者と言うのであれば、その書類を作成した医師なり担当者がいるわけで、今回もそちらのほうで書いてもらうほうがよいのではないかと伝えたら、その担当者もよくわからないと言う。

要するに、すでにそういう学校(たぶん養護学校だろう)に通っているのだから、医者は意見書だけ適当に書いてくれればいい、という感じ。既成事実としてそうなっている以上、それ以外の方法は考えられないのだろうか。

とすると、あの子たちは、実は障害者でも何でもないのに、親によって障害者にされているのではないかという疑問が湧いたが、わたしとても、そこまでは言えない。

医師は、その子たちの父親から、お金が出なくなるから判子だけ押してほしいと頼まれた。が、しかし、子は障害者でもないのに障害者の学校に入れられ、そのおかげで、あの親は生活保護と子ども手当と障害者のための給付金まで受け取っているのだろうか?

***

どうしたもんかいな、と受付の子に話すと、「Oさん、夏休みに沖縄に行くって言ってましたよ」と言う。

はあ?

生保の人が、沖縄に家族旅行?

今まで、そういう話は聞いたことがなかったし、子ども手当てをどのように使おうと、そりゃその人たちの勝手だと思ったが、あちこちのショッピングセンターで目撃され、沖縄に旅行へ行き、子どもの学費はタダだし、バス代も医療費もタダ。しかも、働かない。

貧しい人たちにイエスさまを見つける・・・・

どうやって?

なんか、ものすごく裏切られた気持ちがした、嫌な話である。

(使徒 2. 12-13)

虐げられていた人たちがパラダイスへ行くということ?

が、しかし、それを現実に目の当たりにすると、まじめに働いている人たちがバカみたいじゃない? 子どもたちを障害者にして福祉を受けている人たちを喜べとか?

今まで、聖書をいかに他人事として読んでいたかを感じる。

罪深い人たちが赦されて、まじめな人たちがないがしろにされるのか?

でも、よく読むと、そうやって書いてある。

教会の人たちは、裕福で立派な人たちが多い気がするけど、世の中ってそういうものなのかも。

(エレミヤ 51. 48-49)

大学を出て職がない人たちと、養護学校を出て保護される人たちと。

何かが変わり始めているのかも。

投稿者 Blue Wind : December 15, 2010 12:42 AM | トラックバック
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