凱旋門、子等駆け降りる階段の手すり求めて、足音は消ゆ
案内の表示従い迷いゆくルーブルの階段の道同じ彫刻
夏の雨無情なまでに降りつづき河は揺れまじゆるき流れは
夜はなき夜中となりき裏路地の人の流れの吹きだまるカフェ
騒音と轟音と鐘、遊覧船、退屈せしは窓を開け、閉す。
モネ傘やモナリザ傘やきのこ傘、くるくる歩く港の雨道
ノルマンディ磯の香りのなき海の緑のしぶきセーヌ流れん
太陽がオレンジ色に昇りゆき雨雲のなか包まれし晴れ
(ヨブ34. 28)