勉強会は、すでに教会の中を案内されただけ。今さらながらに小さな教会だし、質素。燭台もなければ、パイプオルガンもない。それでも告解室があるだけ大きなほうなのかも。マリアさまの像も小さく、隅のほうに置いてある。教えられなければ誰も教会だと気がつかないような普通の建物で、何も言われなければプロテスタント教会だと思ってしまいそうだ。
お葬式と結婚式が同じ衣装というのも初めて知った。それから、以前から気になっていた祭壇わきのロッカー。おそるおそる中を拝見すると、ロッカーの中にロッカーがあり、遺骨があった。お墓のない信者さんや、赤ちゃんの遺骨。小さい骨壷。オトと同じ色のカバー・・・・ あまりにも小さいので、動物のものですか?と尋ねてしまった。(ごめんなさい・・・)
ここの教会は小さいので、納骨のための別の部屋はない。
神父さんは、しきりに日本語で、「ここは、”わたしの教会”」を繰り返していたが、つまり、入信すると、あの教会が”わたしの教会”になる。正直、あまりうれしくなかった。築25年の木造建築の”新しい教会”。わたしが死ぬ頃には建替えでもしないかぎり、ボロボロになってそうだ。そうやってよく観ると、エアコンはカバーが外れかかっているし、電気屋さんでも一番安そうな天井吊りライトも汚れている。いつだか信者さんが、ここの教会はトイレだけは3つあって最新式だと言っていた。あーあ・・・
---- ここの教会は、イグナチオみたいに立派じゃないけど、必要なものは揃っている。
・・・・・・・顔に書いてあったのだろう。それとも、皆考えることは一緒か。床もビニールクロスだし・・・
笑うしかない。
---- 何かほかに質問、ありますかー?
訊きにくかったが、好奇心には勝てない。
---- 神父さんって、Beato から Santo になるんですか?
---- 今年は9人。ここの会からも今年一人。ダニエル神父。とても少ないです。僕も10月にはローマに行きます。
---- 聖人?
---- そう。とても少ないです。司祭でなくても、聖人になれる。マザーテレサの両親も列聖されるし、どーですか?
ひたすら笑うしかない。
---- それって、どうやって選ばれるんですか?
---- わからない。
---- じゃ、ある日突然、ローマからひらひらひら〜?
---- そう。
---- じゃ、ある日突然、パパさまから招待状?
---- そう。
ひらひらひら〜っと手のひらで遊んでいたら、手の先にイエスさま。
---- じゃ、神父さんのところにも、ある日突然、バチカンから招待状が届くかもね。
ひらひらひら〜
---- じゃ、わたしは聖人の授業をこうやって脱走してたんだ。(真似をする) でも、聖人の話は退屈だよ?
---- 聖人は故郷では敬われない。
---- 罪深きわたしをゆるしたまえ〜、っていつも祈ってるのよ。
---- それは、だいじょぶ。
---- ジョーク、ジョーク。ぜんぜん気にしてない。
とりあえず、入信式は1分か2分くらいで終わるらしいし、それならまとめて洗礼のときにしてくれたらいいのに、と思ったけど、のんびりやっていったらいいのかも。
そうだ、鐘もない・・・
(ルカ 6. 20-26)