January 24, 2008

さよなら、オトくん

脱走したオトくんが見つかった。

***

一昨日、新聞の集金の人が来た際、ドアを開けたら、オトが飛び出し、続いて3匹が飛び出した。マリとナナは呼ぶとすぐに戻ってきたが、オトとテンは2匹で競走するように走って行ってしまった。

2匹は一度は家の前まで戻ってきたが、追いかけるとまた逃げた。姿を見失い、諦めて家に引き上げたら、10分くらいしてテンだけが怯えるように戻ってきた。

オトはいつまでも戻らない。わたしはその後すぐに出かけなければならないし、諦めた。

夜、オトを探しテンを連れて出かけたが、見つからない。そのまま家に戻り、オトの帰りを待つことにした。警察にも連絡したけど見つからなかった。

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翌日、保健所に連絡したら、動物指導センターを教えてくれたので登録。近所の獣医のところにも電話した。

そういう日に限って忙しい。お昼に地元紙の人が来て、求人広告の打ち合わせの際、迷子犬の広告も頼む。

夕方、迷子犬の担当の人から連絡があり、てっきり記事についての話だと思っていたら、実は偶然にもその人が通りかかり、大通りを渡ろうとしていたオトをおとな3〜5人くらいで捕獲しようとしたらしい。何度も轢かれそうになり、放ってはおけなかったと言っていた。するとオトは驚いて逃げ出し北へ向かって走り去ったそう。

そこで、夜、再び、オトを探しに今度は北へ向かった。交番でオトの特徴を伝えたが、オトの行方はそれきり誰も見ていない。わたしも家に戻った。

***

なんとなく深夜になってもオトが気になって眠れない。真夜中、マリが下へかさかさ行く音がする。起きて、下へ行くと、マリは戻り、また下へ行く。3度目に、玄関の前にマリがいるので、わたしはマリを連れて、オトを探しに行くことにした。夜中の3時。

生きているのなら、あまりにも寒い夜。死んでいるならいるで消息を知りたい。ポケットにロザリオを突っ込んで、マリをひざに抱きながら、誰もいないような夜道を、道に迷いながらゆっくり走り続けた。

迷って迷ってどこを走っているのかわからなかったが、ようやく見慣れた道へ出て家に向かって走っていると、まだ曲がったことのない道があることに気づく。窓を開けながら走っていたので、マリの反応を確かめながら走る。その時、マリが右へ行きたがったような気がしたので、真っ暗な道を行く。

そこは研究所と大学の間の道で、何もない。でも、ゴミやダンボールがたまに落ちていたりして、昼とは違い、なんとなくオトがそこにいるような気がして、オトを呼びながらゆっくり走った。道が行き止まりになり、どちらへ行こうか迷ったら、マリが右へ。そこで右へ曲がると、マリが鼻をクンクンさせている。

どうやらオトくんはこの辺にいることがわかったけど、車を停めて呼んでも反応がない。そこでゆっくり道を行くと、マリが振り返ってそちらの方向を見ている。気のせいかもしれないと思い、もう一度同じルートで走らせると、同じ場所で、マリが首を外に出しながら一生懸命に匂いを嗅いでいる。

わたしは、見渡してもオトがいないので、翌日、研究所が開いてから来ようと思い、家に戻った。もしかすると、捕獲されているかもしれない?

***

動物指導センターのサイトに、市町村への連絡と書いてあったので気になったが、とりあえず雨の中、先に研究所へ向かう。守衛に訊いたが、そんな犬は見ていないと言う。中を一回りしたが、オトは見つからなかった。

わたしは門から外へ出て、昨日、マリが鼻をひくひくさせていた場所に向かいながら、車を停めてオトを探した。夜には気づかなかったが、そこは深いV字溝で、あんなところにオトが落ちていたら大変だから。溝に沿って歩いて行くがオトは見つからなかった。(わたしは無意識のうちに、オトの死体を捜していたのだろうか・・・?)

***

長い雨の日、不思議なことがあり、家の前に車を停めようとしていると、鳥が死んでいるのが見えた。そのままにしておくと車に轢かれそうだったので、空き地に移そうと思って恐る恐る持ち上げたら、心臓がトクトク動いているのでびっくりした。

よく見ると、カラスの赤ちゃんかもしれない。遠くから見ると、まるで鳩が死んでいるようだった。頭がはげて赤くなり、骨が少し見えている。羽がずぶぬれで飛べない。家に連れて戻り、アルコールとイソジンで娘が傷口を消毒した。よほど痛かったのか、ピヨピヨ鳴いているのがかすかに聞こえた。

わたしはその姿がまるでオトくんのようだったので、放っておけなかった。でも、薬を塗って、羽が乾くと、首をすっと持ち上げたかと思ったら、一瞬、飛んだ。

探すと部屋の隅にいた。それまでは獣医へ連れて行こうとか、餌を買って来ようかと迷っていたが、急に元気になってしまったので、娘と相談して、雨が当たらないようにドアの外へ出した。

すると、木のほうへ飛び立って行ってしまった。

鳥にオトの行方を尋ねたら、傷ついた鳥は空へ・・・

***

市役所へ連絡したら、あっさりオトが見つかった。

市役所の人にオトの特徴を伝えると、まさにそれはオトの遺体だったし、オトが発見されたのも昨日と一緒に行った場所だった。疑いようがなかった。交通事故に遭って、V字溝の横の芝生の上で死んでいたのを、親切な人がオトの遺体を新聞紙に包んで届けてくれたらしい。

わたしが市役所へ行こうとすると、係の人が、業者がオトの遺体が廃棄物として処分される前に2,3日預かると言って連れて行ったと教えてくれた。そこの業者へ連絡すると、まさしくペット霊園の会社で、飼い主からの連絡を待っていた。オトはすでに霊安室に安置されていたようだが、5時までで閉まってしまうので、今日はオトに会えなかった。

***

オトはおそらくは北へと走り去ったが、もしかするとすでに車にぶつかっていたのかもしれない。傷ついてふらふらして、人のいないほうへ向かったのか?

・・・・・・そうかもしれない。だからあんなところに・・・・・・

オトは、わたしがオトを呼ぶ声を聞いていたのだろうか・・・・・

なんか、せつない。

明日こそは、家に連れて帰ろう。

しばし、さよなら。

さよなら、オトくん。

神さま、ありがとう。

おかげで、オトくんを無事に見つけることができました。そして、どうして、何があったのか、どうして、テンが怯えながら戻ってきたのか、そして、どうしてオトくんだけがあんなにさびしいところで死んでいたのか、わかりました。

明日は、オトを迎えに行こう。

オトは、必死に家に戻ろうとして、車にぶつかり、そして、傷ついて、静かな場所へひとりで向かった。

オトくん・・・

もっと早く探しに行けばよかった。

わたしの呼ぶ声が聞こえただろうか。

(テンの吼える声が聞こえた・・・今)

オトくん、ごめんね。見つけてあげられなくて。

明日は、きっと迎えに行く。

投稿者 Blue Wind : January 24, 2008 12:56 AM | トラックバック
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