この半年の間で、朝から晩まで激しく雨の降る日は今日だけだったと思う。
毎日患者さんを待つ生活をしていると、お天気と密接に関連しているとしみじみ感じることが多いし、雨が降っているのかやんだのか、風が吹いているのかやんだのか、ずっとビルの中にいると、患者さんに言われて気づくことが多い。
半年というのは、ずいぶん長いと思う。
ベビーカーで来院していた赤ちゃんはしっかり歩くようになっているし、この前制服を着て来た子がいきなり髪を染めて私服で来たりすると誰だかわからなかったりする。高校を卒業する前と後ではずいぶん雰囲気が変わるということを知る。
が、しかし・・・
男の子が髪を染めるのが当たり前な時代、今までそんなことを考えたことはなかったのだが、彼のお母さんが来たときにちょっと訊いてみた。
「お小遣いで染めたんですか?」と。
すると、彼の母親は笑いながら、何でもなさそうに、「重かったので、床屋で染めて・・・」という具合。
いや・・・別にどうでもいいことなんだけど、浪人した息子に散発代のみならず染める金まで出してやる、というのがわたしには不思議で、お小遣いで染料を買って自分で勝手に染めたのかな・・と勝手に想像していたため、かなり心外な出来事だった。
ちなみに看護師たちにも訊いてみたが、その返し方がまたおもしろい。
「うちは髪を染めても別に何も気にしないから」というお返事。
そういう意味で言ったのではなく、わたしは単に染髪代を出してやるかどうかを訊きたかっただけ。
今はまだ中学生と高校生の息子さんなので、現実味は少ないのかもしれないし、結構うるさい人が多いから、あえてそういう具合に返すことが習慣になっているのだろう。公務員系だし・・・
もうひとりの看護師のところは女の子が二人だし、二人とも大学を卒業してしまったので、逆に、「うちの娘たちは髪の毛は染めたことがなかったからわからない」というお返事。
公務員社会というのはおもしろくて、宿題を出しすぎるといって先生に文句を言うのは当たり前だし、おそらくは息子が髪の毛を染めたいと言えば床屋代も全額親が出すのかも。
つまらないことなんだけど、息子の染髪代を親が出す、ということがものめずらしくて考えてしまった。ということは、それが当たり前なんだろうか。
ちなみに息子さんたちのお小遣いの額を訊いたら、すごく安い。うちは娘に出しすぎているのかと思ったが、スクールバスを待っている間にジュースやアイスを友達と一緒に食べると、それくらいはすぐに無くなってしまう。
わたし的感性によると、その手のことをやりたいのなら自分でお小遣いを貯めるとか、ドラッグストアで染料だけを買って工夫するとか、そちらのほうが普通のような気がする。
が、しかし・・・
小遣いはやらないが、髪の毛を染めるお金はあげるんだなぁ・・・母親というのは。
なんか不思議だ。