February 26, 2006

臨場感のある話

聖書はちょうどソロモンの時代に入ったところで停まっている。寝不足と外出が重なると仕方がない。いつも挫折してしまうのだけど、今回は通読が目標。なんとか桜の花が咲くまでに読み終えたい。

ソロモンの時代に入ると、いわゆる外交が活発になり、戦争や略奪よりも互いに平和に暮らしていたほうが国が栄えるということがわかる。今では当たり前のことのような気がするけど、当時としては画期的だったのだろう。

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それにしても、残酷な時代だと思いながら聖書を読んでいたが、たまたま今日、敗戦後の満州の様子を聞いてきて、あまりにもリアルで泣ける。そのおばあさんはよく太って元気な人で、今ではまるで当時の面影はないけれども、当時の話となるとウルウルと泣き出し、語っていた。

敗戦後、満州に取り残され、いきなり匪賊が襲ってきて略奪されたこと、父親が連れ去られて血まみれで帰ってきたこと。当時は男性はそうやって誘拐されて縄で縛られ殺されてしまった。たまたま中央のほうで縛られていたため、傷が浅く、そのお父さんは助かった。

そういう状況で司令部から配られたのは青酸カリ。ある晩、母親といっしょに駆けつけて行ったら一家心中があり、子どもの分は2人で1カプセルだったために死にきれずに苦しんでいた16歳の女の子。たまらず、母親が自分の分を半分削り、その子に飲ませてしまい、終生そのことで苦しんでいたこと。

引き揚げに子どもは足手まといになるという理由で、子どもが殺されていたこと。実際、生まれたばかりの弟に飲ませる乳がないので、父親がある晩青酸カリをすっていたこと、それを兄が止めたこと。16歳の姉が麻袋で誘拐されたこと、結局、その姉を置いて日本に引き揚げて来なければならなかったこと。後日その姉の消息がわかり、子どもが2人いたが何度も脱走しようとして失敗し、精神に異常をきたして22歳で亡くなっていたこと。

7年目に馬車に乗り日本に引き揚げることになったが、途中で馬を休ませているとき、荷物ごとその馬車が走り去ってしまい、幼い弟を背負って240キロを歩かねばならなかったこと。

・・・・・・・・そういう世にも悲惨な話を、今ではのーてんきなくらい明るいおばあさんが泣きながら話していることの不可思議さ。彼女には当時の情景が見えており、記憶をたどりながら自分の目で見たことをわたしたちに話している。しかも、当時彼女はまだ子どもだった。

なんか、こう、幸せっていいよね。悲惨な過去を清算してくれる。

投稿者 Blue Wind : February 26, 2006 01:59 AM | トラックバック
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