鳩って不思議な鳥だ。「浅草」で思い出すのだから、あの風景は浅草なのだろうか。
あの風景・・・
昔、夢の中で何度もみた風景。
灰色の屋根に鳩がたくさん止まっていて、わたしが見あげていると、鳩が一斉にぱあっと飛び立つ。
その視線を考えると、おそらくは赤ちゃんの頃か幼児の頃に見た景色。あまりにも何度も同じ夢をみるので、母に心あたりがないか訊いたことがある。灰色の屋根はお寺のようで、母が言うには、増上寺か浅草寺、あるいは祖父の寺か。
あまりにも気になるので、大学生の頃、自分で行ってみた記憶がある。でも、視線の位置が違うせいか、その夢の中でみる角度が発見できないままあきらめた。
***
あれも浅草だろうか。
独特の線香の匂いと鳩の餌。わたしは鳩の餌を撒くのが好きで、行くと1袋買ってもらい景気よくぷあ〜っと撒いてしまう。それを見ていた父が自分も1袋買い、手の中に餌を握りながら座っている。鳩はこちらを見ているけど、少し近づいてはまたクルッと向きを変えて行ったり来たり。それを見ながら、父が指の先から少しずつ餌を撒く。すると1羽の鳩がやってきて食べ始めたとたん、一斉に鳩たちがやってきた。
父が、「おまえもやってみろ」と言うので、父の手から餌を分けてもらい、父の真似をする。でも、今度は鳩がこちらをめがけてぷあ〜っとやってきたのが怖くて、餌を落としてわたしは逃げた。
父は笑いながら手の中の餌を落とし、手を払っている。餌袋を逆さにして残りの餌を撒くと鳩たちが一斉にやってきた。わたしが父と一緒に歩き出すと、餌があると思って鳩が追いかけてくる。追いかけてくる、というのは気のせいだったのかもしれない。それでいて、「もう、ないよー」と言いながらわたしは逃げ出した。
***
イタリア。鳩だらけの国。ミラノの地下鉄をあがると、ドゥオーモの広場に鳩おじさん。いきなり娘の手に餌を握らせて餌を撒く。
鳩は一斉にやってきて、頭の上にまで止まる。そこで鳩おじさんに記念写真を撮ってもらうと餌代を請求される。断るとほかのジプシーたちがやってくる。仕方がないのでチップを渡すとおもむろにずぼんのポケットから餌を出し、「もう一枚撮るか?」と訊く。
頭の上の鳩?
少し爪が痛かった。
鳩にも国民性があるのだろうか?
投稿者 Blue Wind : January 7, 2006 03:08 PM | トラックバック