August 22, 2005

ジャパン・マネー健在?

それはグアムのホテルの廊下を歩いている時だった。

わたしたちは子連れゆえ、朝食の時間、レストランのテーブルを見渡せば子どもの座っていないテーブルがないほど子連れが利用するホテルを利用していた。従ってホテルの中の廊下を歩いている女は母か子である。このため普段なら通用する、「うちは子連れだから・・」という甘えが通用しないことを思い知る。

それはホテルの廊下を歩いていても、プールサイドにいても、すべての女がわたしと同じ条件で存在しているため、子連れというハンデが通用しないという意味であり、わたしの前をシャネルの紙袋を持って颯爽と歩いている女をダンナと娘と一緒に眺めることになる。

シャネルで買い物をすればもう一度グアムへ来る旅費くらい軽く出ちゃいますからね・・・おりしもその時、わたしたちはDFSからの帰りであり、わたしはヴィトンの新作のバッグの値札に2800ドルの数字を眺め、さすがに税関で申告しなければならないほどの買い物は主婦にはできないなぁ・・と思いながら、プラダへ回り、新作を眺めてこれくらいならいいかなぁ・・と思いながら逡巡し、シンガポールのバーゲンなら90%オフという現実を想い描きながらグアムで買うのはやめようと数字を計算しながらホテルに戻ったときのことであった。

いや・・・・そのシャネルの紙袋を持った人がわたしたちよりも上の階で降りたのならすぐに忘れてしまったと思うの。同じエレベーターに乗り込み、颯爽と5階で降りられた日にはたまらない。5階というのは客室としては最下層であり、いわゆる部屋指定なしのツアー客が泊まっていることが多い。とりあえずわたしたちは最上階とまではいかないまでも19階に宿泊していたわけで、一瞬その差額を計算してしまうところがわたしだ。

それでね・・・一応はわが家は家族主義なので、家族みんなに共通するところにはお金をかけることにしている。そうなると節約すれば軽くプラダの新作バッグくらい買えちゃうなぁ・・ということになる。日頃そういうことはあまり考えないのだけれど、わたしが独身だったら当然宿泊費などは節約してバッグを買っちゃうなぁ・・などと鬱々と考えたり。が、しかし・・・宿泊したホテルはファミリー客ばかりが泊まっている。

バッグが欲しいわけではなく・・・・うまく説明できないけど、権限の問題なのかもしれないし、考え方なのかもしれないし、予算配分の問題なのかもしれないし、そういう発想は何も語らなくても周囲に鬱攻撃を仕掛けてしまう。

そこで翌日わたしは買い物に出かけることにした。ダンナが怪訝な顔で、「どこへ行くの?」と問う。「DFSじゃないわ」と答え、別のブランドショップばかり入っているショッピング・センターの名前を告げる。その間、娘とダンナは海やプールで遊んでいればいい。

・・・・・・・・と思ったとたん、娘が一緒に行くと言う。女の子だからショッピングが好きなのは仕方がない。たぶん。

家族連ればかりの中でおじさんが1人でプールに取り残されるのはいやだったのだろう、わたしはついて来られて迷惑な気がしたのだけど、結局、ダンナも一緒に出かけることになった。

が、しかし、ショッピング・センターの中を3人で一周し、やっぱやめよかなぁ・・と思っているとなかなか帰りのバスが来ない。現金をほとんど持ち歩かない主義なのでタクシーも気が進まない。そこでわたしは急に売り場に引き返すことにした。ダンナの顔を見ると、2800ドルではなくせいぜい700〜800ドルくらいの値札の多いことはすでに確かめてあるので、「それくらいならいいかな」という顔をしているのがわかる。

チャ〜ンス!
そこでダンナはロビーに座っていると言うので、わたしとおちびはヴィトンへ駆け込む。娘とあれこれ眺めながら、どちらがいいか娘に訊く。娘に訊くのは幼児の頃からの習慣で、彼女はセンスがいいのでわたしは当たり前のように娘に訊くことにしている。

・・・・・・・・・が、しかし、なんなんだ。「お母さん、こっち!」とうれしそうに娘が選んだのはまさしく娘の好みであり、内心、「あんたのために買うんじゃないわよ〜」って思いながらも、わたしも娘には弱い。それに同じようなバッグなのにDFSでは2800ドル以上したのにこっちのヴィトンの店では1300ドル程度。どうやったらそんな差額が発生するのか不思議・・・どちらも新作でございます。ヘンだ。その瞬間脳裏によぎったのは、DFSで買い物するやつはあほ!ってことだった。

自分でもバカみたいって思うんだけどね・・・それでいて娘が欲しそうにしているとうれしくなってしまう。「東大に入ったらあげるわ〜」などと言いながら娘の前にちらつかせる。

たまたまニートの本を読んでいたせいか、物欲があるって素晴らしいとすら感じる。東大へ入ったらあげるわ〜とか、自分で働けばいくらでも買えるわよ〜とか。

たまたま同じ店にいた中年の女性のふたり組と出口で出くわす。日本人ではない。わたしと同じくらい粗末な格好をしている。それでいてふたり並んで紙袋をいくつも提げている。しかもわたしに訊くのである、「そのTシャツどこで買ったの?」と。一瞬、「はあ?」と思ったけど、親切に教えてあげた。バスで二つ目くらい先のところなんだけど、しっかりタクシーに乗り込んで行った。ABCストアで買ったんだけどね・・・・Tシャツ。

グアムはいいな。どこが不景気なのかわからない。たまたまお盆だからなのだろうか・・・それとも普段からあの調子なのだろうか。ほかのところへ行って買い物をしても大して面白いとは思えない。が、しかし・・・・100万円くらいの買い物をぽんぽんしている日本人に囲まれていると、しばし公務員の街のことは忘れてしまった。

投稿者 Blue Wind : August 22, 2005 12:09 PM | トラックバック
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