July 16, 2005

『タテ社会の力学』 中根千枝著

さっきアメブロにログインしようとしたら、いきなりできずに慌てた。何度やってもダメなのでパスワードを再発行してもらう手続きをし、そのままそれでログインしてこれを書いている。一時的なものなのか、それともわたしの知らないところで何かがあったのか原因不明。

近頃、古い本ばかりが思い出される。読んだものもあれば、読まずにそのままになってしまったものもあるし、いずれにせよ記憶の彼方にある本ばかり。

中根千枝の『タテ社会の力学』 が流行ったのもわたしが高校生くらいの頃だったような・・・名前からの連想のせいか、この本と中曽根康弘のサミット登場、「ロンとヤス」とか古い言葉を思い出さずにはいられない。

まだアメリカに幻想を抱けるほど、わたしが若かった頃。今はなんと言うか、ハワイの通りを歩いているアメリカ人を眺めて、少しはダイエットしろよ、と思う程度で、フィレンツェの美術館のキューですぐ後ろにいたニューヨーカーのアホさ加減とずうずうしさにも慣れてしまったし、海外でアメリカ人に出くわすと大抵は親日家が多く、何となく逆に馴れ馴れしいような気さえする。

いいんだけどね・・・仲が悪いよりは良いほうがいいに決まってるから。でも、イラク戦争以来、アメリカ人には馴れ馴れしくされたくない、一緒にされたくない、って感じるわたしはたしかに少し傲慢なのかもしれない。

『タテ社会の力学』に書かれている日本社会は、わたしのもっとも苦手とする社会構造かもしれない。大集団より小集団での決定や序列を重んじる姿勢。儀礼的な上下関係とかね・・・なんか、そういうの、嫌い。相手が年上だと思えば、とりあえず祭っておけば祟りはないだろうというか・・・のらくらのらくら。

自分的には、そういう儀礼社会の中にいるより、1人でいるほうが気楽。窒息しそうになる。困った。

かといって、アメリカ的民衆のパワーにもいささかうんざり。ぎゃーすかぎゃーすか集団でうるさいなーって思うだけ。「あんた、少しは黙っていられないの?」みたいな気分に陥る。このため、アメリカではいつも強いリーダーシップが要求されるらしい。

そのどちらにもうんざりしながら、のらくらのらくら・・・

タテ社会の維持に必要なのは謙遜の美徳。上がつっぱらかっていたら反感ばかりが募りまとまらない。このため日本人の理想の上司像とかね・・・ものわかりのよさ、というのが目下に好かれるポイントらしい。

リストラ、か。
自分的にはそれは無理もないことだと思っている。タテ社会を支えていたのが、謙遜やものわかりのよさだとすると、そのどちらも欠如したまま民衆のパワー的上司が出来上がれば、世は乱れるばかり。そうなると、無理に力でタテ社会を維持するか、あるいはタテ社会そのものを破壊しようとするか、いずれにせよ屈折したエネルギーがぶつかり合う社会構造になっていく。

まったく関係ない話題だけど、不意にお寿司屋さんの奥さんを思い出した。わたしが学生時代に近所に住んでいた人で、ご主人がたしか10歳くらい年下だったような・・・彼女は九州の国立大学を卒業し、東京でかなり長い間OLをしていたはず。わたしより20歳近く年上だったので、今はその頃小学生だった息子さんもお寿司屋さんになっているのだろうか。

お寿司屋さんになるための英才教育・・・
それがわたしが彼女から少し学んだことだった。子どもの頃から陶芸、書道。そのくせあまり勉強はさせない。あの矛盾に満ちた人生観と教育ママぶりはある意味尊敬ものだった。

寿司屋の世界は昔ながらの寿司職人の世界。上下関係も厳しい。そういう中で、10歳年下のご主人をいつも担がなければならない。息子には別の人生があるかもしれないのに・・とは思ったけど、将来は寿司屋、って言い切っていた。でも、正直、渋谷の界隈で、器のよしあしやお品書きの素晴らしさが評価される店を経営するのは大変かもしれない。ライバルは回転寿司だし、回転寿司にしても近頃は競争が激しいせいか、ボリューム、ネタ、アイデア、その他諸々商売は大変。

わたしみたいにだるだるに生きていると、近頃ではたまにダンナが連れて行ってくれる接待用の寿司屋へ行くより、ダンナが飲み会で留守の時に娘と一緒に行く回転寿司屋の海ぶどうのにぎり寿司を食べているほうがよくなってしまう。

姑さんもひとり暮らしのせいか、昔だったらどこか美味しいものでも食べに行こうとばかりに寿司屋や料亭などを予約したりしていたのに、このところだるだるだから行きたがらない。おじいさんが生きていた頃は、たまには労をねぎらう意味もあってか、あちこち食べに行くのが好きだったのに、近頃はひとりだったらつまらないからと言って、外食よりも手巻き寿司のほうがいいらしい。

投稿者 Blue Wind : July 16, 2005 05:47 PM | トラックバック
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