融けだして貴婦人走る空の月さみだれ明けぬ夏の日の雲
水曜日、だるだるな日はお休みか。水仙の春、葉も散りゆかば。
曲がり角たわわに咲いた紫陽花は白紫のこぼれゆく雨
田の色のわかみどりにも映えたれば無機質な家邪魔とも云えぬ
鬱蒼とくらき気分もしづもりぬうすあかりさす梅雨の日の午後
異邦人、われのことかと一冊の聖書取り出す。さて敷島は。
ネイティブを保護いたしてはブッシュにはめずらしき花咲いているらし
英種にぞ侵略されたわが庭は名も忘れたる百合に似た花
万葉を英字で読んでたしかめる。いにしえ人の詩情ふるよし。
オトくんは、ドイツ→アメリカ→日本へとやってきた犬。地球をめぐる。
ネイティブは2%と台湾を眺めていても明日はわがみか
頑なな国だと思い敷島を嫌っていたが、いざ消えゆかん。
京さえも唐の模倣と思わなば秋葉も変わる、鉄道の先。
恐竜も静かに死んで大地には静かな暮らし広がるやもと
朱鷺さえも静かに消えた敷島に雀は飛ぶか、梅雨の日の午後。