まっすぐにすすめるみちがあるのなら弧を描きつつ風はめぐりき
運命は決まっていると悲しみはよろこびのうえ軽やかに過ぐ
わが音をきちんと出せとゆらぐ声すこし響いて淡々と青
だるだるに風も吹かない暑い夜、肌寒き昼、裏返る時。
運命が決まっていれば時間とは人生きる背の奏でるピアノ
源氏には言いたいこともあるけれどたかむらの墓式部とならぶ
深深と井戸の底にぞよこたわるいにしえのとき しんしんと夜
井戸の底鳴いてやまぬは不如帰、そんな満月、似合わない夜
ミステリーゆくすえ彼方棄てゆかば星の屑さえシュールな弧みし
サルビアの濃い紫は昼間にも夜にもとけていっときの夢
翳なのか光るサルビア花ありき濃い紫は光の闇地