June 26, 2005

【短歌】 少しずつ造花のやうになりゆくか、すきとおりてやかなしき笑みは。

ぼんやりと母親の顔あつまればなにごともなく移ろうか、時
ほんのりとミルクのはなしあつまればなにごともなく育ちたる子ら
朴訥に月日は流れ朴訥に子ら育ちゆく林立のみち

すきとおる肌もちたるも40歳 離れ立つ人 かつての友は
理由など何もないのと微笑んで店の案内六本木の丘
エリートと名のつくばかり男には顔のよく似た妻並びおる

ナルシズム極限にして顔の似る確率の渦わかりにくかりし
二極にぞわかるるものか人生はめぐりゆく罠ふるわせし肩

すんなりと時計の針のまわるような人生もあり。今、何時かな?

刻々と子の育ちゆく谷間には、今日も暮れるか夕焼けの空
微笑みのゆるみぐあいがかそけくも二極めいた陰陽のやう

”負け犬”の数の多さに群れなせば牙さえむなし自由な人ら
少しずつ造花のやうになりゆくか、すきとおりてやかなしき笑みは。
ぼんやりと談笑の声途切れれば別れた後の地下鉄の音
立ち尽くす後姿に声かけし友は見知らぬ人らのひとり
歳月は群れから離れそれぞれの巣に戻りゆく後姿に
翳のある放課後のごとく地下鉄は足音だけが響き別れん
決断を独り奏でる足音は笑みむなしくもそぞろ吹く風
ひらひらと後姿を重ねては友の背なかの吾に別れ告ぐ

投稿者 Blue Wind : June 26, 2005 05:54 AM | トラックバック
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