こころなか沁みゐるやうに馬場あき子ふいに読みいづ舞ふさくら花 立ちどまれさくらの散るを待つやうな一片たりとも落つるものかと みちゆかば慣れたさくらは微笑んでいまが盛りと一片もなく 公園の踏みしだかるる舞ひ桜享楽といふまなこのせゆく
遺す歳(とせ)いまをうたふといつの日かまなこつむれるおのれ視づ底 絡みあふ小さな針の向こふにはちくんと刺した脳とてのひら 突かれてかすかな痛み脳のなか生みいづやうな言の葉の舞ふ いくえにも脳を掠める言の葉を吸い込むようだ麗かな春