春風の冷たさのあり夜風には黒きダウンを羽織り歩きぬ
ゆるやかな流るる風のおとづれは戸を閉すやうに春に届かず
雑巾を今に縫いおる夜更けには朝の始まり遠く近くと
夏の朝すぐに夜は明け短かければ春のおとづれ朝は遠のき
老いというやすらぎもある死のみちはこころしづもり迎えるこみち
若き日はもうくたくただ。坂道を登ることさえかたき囀り。
こころだにくたくただった若き日に戻りたいのかあな驚きぬ
しづもれた腕に抱かるるおさなごに戻りゆくやうな老いといふもの
すこしずつ春おとづるる花の香を待ち焦がれたる冷たき朝に
黄金の低き日の出は冬ですか。低き夕陽もまた冬ですか。
太陽の低きひねもすゆるりとし高きひねもす陽を追い求む
陽に染まり黄昏るるみちすぎゆかば永久のふるさとあまねく夜空
にこやかに顔をそろえた水仙はお行儀よきさま覗かせてゐる
投稿者 Blue Wind : April 6, 2005 04:02 AM | トラックバック