濃厚に陽のとまりゆくジムノベディふかふかとした雲脳は霧張る
くずれゆく形のなかに形ありマン・レイ・ピーチみっつの背中
明るくも陽のとまりゆく時間にはまばゆさだけがとけこみし夢
ぽっかりと声なき声の空間は唖の悲鳴あり胸底のおと
胸底の悲鳴の音の周波数誰が測りしかとまった日の出
煌々とひとりの世界照らしゆけこころみちゆけ耳しかば春
外界のくずれゆくかな晴れの日はわがみ消えにしそは残りしか
曇り空ゆくえしらずの雲雀なり真夜中の声聴こえたはずが
真からの暗闇知らず育ちたる都会のあかり地球のあかり
おゝ鳴けよ小鳥のおとづるる気まぐれな雨今はやみたる
くぐもったクルマのドアの閉まる音いづこへゆくかスプレーのみち
はらはらと寝てしまったよ枯れ草はもはやそれまで春は来やらぬ
桜路はいまだ来やらぬ十字架の青空の色覆へる雲よ