March 06, 2005

ふたりの世界

ボサノバの魅力は、「ふたりの世界」。
青い海や空はその他の出来事はまるで単なる背景のよう。
若い頃には、もっと過激なサウンドが好きだったかもしれない。
ラブソングもちまたに溢れ、それでいて次から次へとラブソング。

その昔、大嫌いだったのが、アミンの『待つわ』。



アーティスト: あみん
タイトル: P.S.あなたへ・・・


当時は、どこへ行ってもこの曲が流れ、これを聴くたびにむっかむっかしていた。

「私、待つわ。いつまでも待つわ。好きなあなたがフラレル日まで」

大嫌いだったにもかかわらず、サビの部分だけはどこででも流れているから頭の芯にこびりついている。デートでもしている時間、この曲が流れると、それだけでむっかむっかしてしまう。せっかくたまの休みにふたりでいる時に、これが流れるってきついと思いません?

自分の幸せの陰には不幸な人たちが存在している、という事実を認識する年頃でもあったし、誰かを好きになる理不尽さにも気が付く年頃でもあったし、大失恋に泣きそうな予感に押しつぶされている年頃だったからなおさら。

いっそのことさっぱり別れよう、と思った瞬間、「私、待つわ、いつまでも待つわ」って流れ出す。そうなると、悔しくて悔しくて、自己憐憫。

そういう時代を経て、わたしはJ-ポップが大嫌いになった。
言葉がわかるってつらい。

その点、歌詞カードを見ないといつまでも意味のわからないカフェ・ミュージックは気楽。ボサノバの場合、ポルトガル語だからそれこそまるきり意味もわからない。タイトルも知らない。それでいて何度も同じ曲を聴く。同じ曲をいろいろな歌手が歌っている。

いつまでたっても、ふたりの世界。

ナラ・レオンの遺作となってしまった、『ギターひとつの部屋で』を聴いていると、すべてがどうでもよくなってしまう。ナラとロベルト・メネスカルのギター。30年来の関係は、ギターひとつあればナラが歌い出す。

大人の恋。大人の関係。

遠のけば大人の恋があるやうによりそふ波はさやあたたかき(しらいしまさこ)

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創作ということで、わたしはひとつやってみたいことがある。

投稿者 Blue Wind : March 6, 2005 03:49 AM | トラックバック
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