January 19, 2005

サマセット・モーム

アメブロへの不適応感の理由がわかった。ノベルだから・・・人はいかに生きるべきかとか、人生などについて、あるいは非日常を求めてそういうものを読むわけで、それが平和なブログの世界に浮いているのですもの・・・そりゃ疲れるわけです。

人間の数だけいろんなドラマや日常があり、それでいて、古今東西人間なんていつの時代も変わらない。同じようなことを考えて、同じようなことで悩み、結局、堂々巡り。

飽きるよ、大抵・・・

すべてが虚しい。

結局、すべてが聖書の中にはあり、人間がそこから抜け出せないことが何となくよくわかる。特に旧約聖書なんてテンションが高いもの・・・しかも、あれがノンフィクション。戦争も飢餓も、孤独も絶望も、恋愛も陰謀も、ありとあらゆるものが聖書には書かれている。人間の醜さや美しさ。

小説だったら、モーリヤックが好きだった。でも、一番好きな小説を挙げろと言われれば、モームの『人間の絆』。あれだけ長い小説をダラダラと読み、最後には幸福の青い鳥的結末。

結論: 人生はペルシャ絨毯のようなもの

さっぱりすっきりその一言が言いたいために、あれだけ書いたのだろうか?モームは・・・
結局、高村光太郎の『道』。好きに生きているうちに後ろに道ができる。勝手に好きな模様を描いて絨毯が織り上がる。

モームなら、本当は『赤毛』が好きなのかも。嵐の日に海に消えてしまった恋人を待ち続けた女。その女を妻にした男。そして、運命の再会。夫はドキドキするわけですよ・・・悲劇の二人が運命の再会をし、それが妻への真実の愛だと思って覚悟する。
が、結局、運命の二人はすでに中年、互いに互いがわからなかった。

そういうモームのシニカルさが好きだし、ヨン様に会うために空港へ行く気にはなれないわたしでも、モームを感じたくてラッフルズホテルへ行ったことがある。
が、しかし・・・
ラッフルズホテルの真っ白な長い廊下で、ピースサインをしながらお遊戯のポーズを取る娘。何だかあまりにもそのシュールな感覚が今となっては懐かしい。
それがモームからのプレゼントだったのかもしれない。

生きていてよかったと思うような瞬間って、大抵は、そういうつまらないことにある。


■ 関連書籍

著者: モーム, W.Somerset Maugham, 行方 昭夫
タイトル: 人間の絆〈上〉
著者: サマセット・モーム, 中野 好夫, William Somerset Maugham
タイトル: 雨・赤毛

投稿者 Blue Wind : January 19, 2005 12:04 AM | トラックバック
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