January 05, 2005

危険な電話

頼むよ、郵便局・・・
近頃、気のせいかもしれないけど、年賀状の配達が遅い。神戸から電話があり、姑さんがウルウルしている。一体どうしたのかと思ったら、年賀状が届かないから、わが家がスマトラ島沖の地震の被害に遭い、今ごろプーケットにでも遺体で転がっていると思ってしまったらしい。

これね・・・普通の人に言うと、「はあ?」って思うと思う。「年末年始に電話していないの?」とかね・・・

姑さんは鬱病だから、なるべくこちらからは電話しない。いきなり夜中に電話するとパニック発作が起こったりするらしい。そうなると、電話口で息が苦しくなり、ハアハア、ゼイゼイが始まる。これで死にはしないだろうけど、死にそうに苦しいというので、普段でも電話ではなくファックスを使うようにしている。そうすると、状態がよければ向こうから電話がある。

鬱病って言うと大変だと思うかもしれないけど、われわれは彼女が鬱病と診断されてホッとした。一番ホッとしたのは姑さんらしいけど。それまでが大変だった。それこそ胃が痛い、骨粗しょう症かもしれない、歯の手術、毎日どこか悪いと言っては入退院を繰り返す。あげく、医者と喧嘩したらしく、病院を替わったり・・・だって、どこも悪くないのに悪くないって言うと怒り出すわけだから、これでは医者もたまったもんじゃない。それで仕方なく数年前にこちらの病院へ入院し、軽い鬱病の診断。
病名がついたら安心したらしく、そそくさと神戸へ戻って行った。

その後、本当にパニック発作が始まったらしく、ますます安心した。診断がしっかりしていると、本人が自覚する。すると、あちこち痛い痛いが始まっても、騒ぐ前に、本人が、「待てよ? これは単なる鬱のせいかもしれない」という具合に冷静になるから、放っておく。そこまでになると、あらゆる用事や誘いを、「わたしは病気だから・・」と断り、外出するにしてもこの辺で発作が出るかもしれないとばかりに薬を持ち歩く。

近頃は、かなり快調だから、以前から仲良くしていた人と暖かくなったら一緒にエステへ通ったり、水泳へ通ったりしようかな・・と言い出している。

姑さんから電話がかかってきて、ダンナを起こそうと思ったけど、娘に代わったらさっさと電話を切ったらしい。眠いところを起こされて、「プーケットで遺体になっている」と大真面目に心配されたら、それだけで息子の機嫌がどつぼに悪くなることを知っているからだ。

その次に、お酒をやめろ、たばこをやめろ、が始まる。もう何十年も同じ話の繰り返しだから、これは病気とは関係ないんだと思うけど、言っているほうは案外本気で大真面目でクソマジメに心配するために、次第に不安のツボを刺激し、ダンナの機嫌がどつぼに悪くなる。
鬱病になったおかげで、逆にそういう説教めいたことは減った気がする。でも、一度始まると止まらない。

わたし?

もう慣れた・・・

その昔、姑さんが鬱病になる前のほうがつらかった。それこそ義父が亡くなってからは毎日嫌がらせの電話がかかってきて、それだけでストレスでわたしのほうが代謝異常などの病気に倒れてしまった。

そうなると病気になった者勝ちで、逆に心配してくれるから不思議だ。これは背骨に良いとか、足ツボマッサージとか、婦人科の病気だけは他人にはわからないつらさだとか、親身になって心配してくれる。自分がいろいろ言うと嫁が倒れるから、などと反省している。でもその次に、自分の嫁さん時代の苦労話が続くために、なるべくなら避けたい話題。

やがて、わたしが病気になったせいか、毎日かかってきた電話がパタッとかかって来なくなった。

冷たいようだけど、わたしにはわたしの親がいるとばかりに、本当にうちの母親が倒れたら、なおのこと静かになった。

ダンナが結核になった時には、ヘンに元気だった。栄養つけて、神戸から肉送って、とばかりにはりきっていた。

ダンナの従兄がまだ若いのに癌で死んだ。そうすると、そこの嫁さんの愚痴を毎日電話で聞いて、あーでもないこーでもないとますますはりきっていた。

今・・・・・どうしているだろう・・・・・・?

たぶん・・・・・・ウルウルしながらセロトニンが増加して、安らかに眠っているかもしれない。なんで、うちがスマトラで遺体になっていないとダメなのかわからないけど、本人にしてみれば、本気で心配していたのだろう。

ウルウルウルウル・・・・安堵の寝息。鼾かいて口開けて寝ている。賭けてもいいね。

一番危険なのは、こういう時に電話すること。

投稿者 Blue Wind : January 5, 2005 12:41 AM | トラックバック
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