December 26, 2004

心残り

これも一つの風なのだと思う。
マリちゃんが死んで、巷では大騒ぎになっている。さっきもペットショップから電話。マリちゃんが亡くなったからご挨拶に伺いたいという・・・

たかが犬、されど犬。
うちの近所は愛犬家が多い。知り合いにも愛犬家が多い。おそらくはわたしの知らない誰かすらマリの死を悼んでいるのだろう・・・

犬好きの婦長さんがいて、マリが病気になったと言ったら、それこそ自分の犬のかかりつけの獣医に毎日電話で相談している。そのまた別の看護婦さんがやはり犬が好きで、こんなことは許せないとばかりに別の獣医に相談している。

そこへ、セントバーナードの赤ちゃんを連れて、通院しているのだろう・・・

看護婦さんと美容師さんを怒らせると、それこそ口コミで一斉に噂が広まる。今度は獣医さんまでが怒って、獣医師会で取り上げると言っているらしい。

もう、今は昔とは違う。

初期治療さえ間違わなければ、マリは命を落とさなかったのかもしれない。もちろん、感染症が原因で子犬の3割は命を落としているのだから、どこへ行ってもマリは助からなかったかもしれない。

これが人間の赤ちゃんだとしたら、訴訟だ、裁判だ、というのが普通だ。ずさんな医療ということで大問題になるだろう。あんないい加減な医療をしていてよく今まで問題にならなかったのか、そちらのほうが不思議だ。今度だって、たまたまうちのダンナが医者だったから、おかしいということに気が付いただけだ。大抵は、医者の言うことを鵜呑みにして泣き寝入りしてしまう。

仮に訴えたとしても証拠がない。最初の感染症の検査では陰性反応だった。今にして思えば、それがいかにいい加減なものであったか、それくらいの証言はわたしにもできるかもしれない。入院後、検査ばかりしていたけど、輸血してインターフェロンを使っているマリの血液データに、いかに信憑性があるか逆に伺いたい。

でも、本当の問題はそういうことではない。

皆が怒っているのは、『嘘』についてだ。単なるストレスが原因で子犬が死ぬだろうか?ブラシが合わないとか、餌が少ないとか、そういういい加減な獣医師の嘘を嗅ぎ取り、そこに不信感を抱くのは当然だ。

最初の段階で、犬の医療費もバカにならないし、でも感染症の疑いがあるのでインターフェロンを使うかどうか患者の家族と相談して決める、くらいの配慮があって当然だろう。中にはとてもじゃないけどそこまではできないと言う人もいるかもしれないし、うちのマリは小さいからさほど大したことはないけど、例えば大型犬だったら人間以上に薬代が必要になる。それでもしてやりたいという飼い主もいる。癌の治療に200万円とかね・・・

人間の場合、日本は医療保険があるから安い。ところがペットだと個人で保険に加入している以外は、全部実費。そこで獣医のほうも、あまり高い医療費を請求していると患者が来なくなる可能性があるから、どこまでアクティブに治療するかは、実はその獣医師の判断によってまちまちなのかも。

でも、近頃の風潮としては、アクティブにやる獣医のほうが人気が高い。

もう、昔みたいに、犬だから、猫だから、というのは通用しない。だって、家族だから・・・
特にマリみたいにまだ赤ちゃんで、朝から晩までわたしが世話をして、となるとなおさら心残りなのかも。

心残りなんだよね・・・

母が転院したということで、久しぶりに幼馴染から電話がかかってきた。ちょうどマリが死んだばかりで、その話をしたら、「子どもは悲しんだでしょう?」と訊かれた。

オイオイ・・・

そかそか・・・そーなんだよなぁ・・・世の中の人たちにしてみたら、母の病気のほうが重篤で、子犬の死なんてものは通りすぎた風のようなもの。わたしにしてみたら、もう5年以上母にはしてきているわけで、この前などは入浴から戻ってきたら温泉に入った後のようなさっぱりとした顔をして、気持ちよさそうに寝ていた。それを考えると、今は状態がよいからそうやって思うのかもしれないけど、母に対しては、いつ亡くなってもやるだけのことはした、という気持ちはある、弟もわたしも。

そこが違う。

近頃では、歌を詠むのもつらい。ずっとマリを抱っこして歌を詠んでいたから、鬱捨て場どころか逆に鬱を拾ってしまいそうになる。

投稿者 Blue Wind : December 26, 2004 02:45 PM | トラックバック
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