December 16, 2004

背中から疲れが走るふゆぞらは腕をのばして陽をつかむ牙

少しずつ曲がり角には冬景色鮮やかすぎる寒椿咲く
道端にクリスマスの樹たたずめばイルミネーション漏れる青空
犬二匹離れていても犬二匹マリの匂いを嗅ぎ分けるオト
吠えるオト部屋の中には走るオト愛奪われた子どものように
ぐったりと霜枯れた草うたかたの光のなかの塵に燃えゆく
背中から疲れが走るふゆぞらは腕をのばして陽をつかむ牙

詩編 22. 13-16

明け方に見る悪夢から放たれつ子犬の顔の悲しげな目目
朝なれば光おとずれ幻はさめざめとした氷点の愛
ちぎるパンひとくち食べて餌皿のドッグフードは誰を待ちたる
鬱蒼とダイナミクスを感じとる犬の嗅覚果てしない風
犬二匹離れていてもお互いに生きること知るせわしなき息

真夜中に小鳥の声のさえずりが聴こえる大河空から落ちぬ
気もそぞろ。憂鬱な風邪、明日の空。調理実習、なめこ買いゆく。
背に鉛心に錨目に怒り暗い悪夢は夜明けの光
セーターが残暑のような部屋のなか病の温度夏景色かな
失敬な。あははのはだとあいうえお。すぐに怒るは死に絶へる前。

ローマの信徒への手紙 16. 17-20

お題にぞ話題の流れ人いきれあるがままにぞ季節は揺らぐ
題詠はトランプの札出すように歌出す世界 正座がつらい
紅白と裏番組をかわるがわる眺めるような最後の世界
紅白を眺めてみろと言われてももうわからない歌手の名前も
好きな曲聴いて流れるひねもすは有線よりもゆっくりと過ぐ

紅白歌合戦か。

プレステで太鼓叩いて曲の名を知りてネットで検索をする
こうやって波の音さえ売られては庭の小鳥の原価を量り
歌カルタ坊主めくりに使われていつの間にやら歌札失くす
伝統は諳んじられて伝わりぬ書かれた文字は埃の匂い

エレミヤ書 9. 9-10

脳音のいやいやながら詠むうたに空調の音うなる冬の夜

◇投句
留守番はふとんの中の犬の耳
ヨン様に頬の筋肉鍛えられ
道端にクリスマスツリー寒椿
裏庭にひかりかそけきクリスマス

投稿者 Blue Wind : December 16, 2004 02:04 AM | トラックバック
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