October 25, 2004

コヘレトの言葉 6. 1-12

  太陽の下に、次のような不幸があって、人間を大きく支配しているのをわたしは見た。ある人に神は富、財宝、名誉を与え、この人の望むところは何ひとつ欠けていなかった。しかし神は、彼がそれを自ら享受することを許されなかったので、他人がそれを得ることになった。これまた空しく大いに不幸なことだ。
  人が百人の子を持ち、長寿を全うしたとする。
  しかし、長生きしながら、財産に満足もせず
  死んで葬儀も出してもらえなかったなら
  流産の子の方が好運だとわたしは言おう。
  その子は空しく生まれ、闇の中に去り
  その名は闇に隠される。
  太陽の光を見ることも知ることもない。
  しかし、その子の方が安らかだ。
たとえ、千年の長寿を二度繰り返したとしても、幸福でなかったなら、何になろう。すべてのものは同じひとつの所に行くのだから。

  人の労苦はすべて口のためだが
  それでも食欲は満たされない。
  賢者は愚者にまさる益を得ようか。
  人生の歩き方を知っていることが
      貧しい人に何の益となろうか。
  欲望が行きすぎるよりも
      目の前に見えているものが良い。
  これまた空しく、風を追うようなことだ。

  これまでに存在したものは
      すべて、名前を与えられている。
  人間とは何ものなのかも知られている。
  自分より強いものを訴えることはできない。
  言葉が多ければ空しさも増すものだ。
  人間にとって、それが何になろう。
  短く空しい人生の日々を、影のように過ごす人間にとって、幸福とは何かを誰が知ろう。人間、その一生の後はどうなるのかを教えてくれるものは、太陽の下にはいない。

投稿者 Blue Wind : October 25, 2004 11:27 AM | トラックバック
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