April 03, 2004

世の中いろいろ、ネットもいろいろ

『短歌人』の皆さま、結社誌の寄贈、ありがとうございました。斉藤斎藤氏の『短歌もサブカルである』という記事を読んで、すごく励みになったような気がします。自分は複数の結社に所属しているネット歌人でありまして、結社では幽霊に近い存在かもしれません。どうして自分がネット歌人と称しているかについては、何度も繰り返してきたのでここでは省略しますが、一部記事を紹介させていただきたいと思います。(ちなみにわたくしはまだ『短歌人』には入会していませぬ。)

「まずはっきりさせておくが、「インターネット短歌」なるものは存在しない。結社等に所属せずインターネットを主な発表媒体とする歌人の作品は実際には多種多様であり、結社誌に掲載されている短歌との区別などつけようがないのが実情である。また、彼らの間で枡野浩一の短歌や歌論の支持者は多数派ではなく、インターネット短歌=枡野浩一という橘の批判はとってもお門違いだ。」(『短歌人』2004/4号 斉藤斉藤より引用)

インターネット歌人という存在は多いと思う。つまり、ネットに歌をあげている人は基本的にはネット歌人でもある。結社に所属していようがいまいが、サイバー上の歌人である。ただ、自分の知る範囲、結社などに帰属するのがめんどーだという人たちもネットには多い。それよりも、気楽に短歌を楽しみたいというか。堅苦しさが苦手なのかもしれないし、一人でやっていくほうが気楽なのかもしれない。中には、お祖父さんが北原白秋のお弟子さんだったという人もいた。でも、いささかそういうことがめんどーでもあるので、ネットで匿名で詠っているほうが気楽なのかも。たしかに、比較されたらいやだよね・・・なんとなく。それと、あっさり短歌は儲からないからと言われた。まあ、そのように考えると、そうなのかもしれない。基本が無償提供の世界だからかな。
が、しかし、インターネット短歌というのが実際にどういうイメージなのか、実はあたしにはよくわかっていないのかもしれない。枡野さんのファンは多いような気がするけど、枡野さんの名前を知ったのは、『短歌ヴァーサス』の創刊号を書店で買ったのがきっかけであり、それ以前はまったく知らなかった。というか、かなり有名な歌人でも名前を知らないくらいだから、今でもせいぜいたまに買う『NHK歌壇』にある名前くらいしか知らないような気がする。それか、大昔、学校の教科書に出て来た名前とか?
ネットだと圧倒的に恋の歌が多いし、あっさり語れば、そういうのも飽きる。でも、実際にはそういう歌は少ないような気もするし、そういうのをバーチャルで相聞している人たちもいるけど、そういうのも抵抗あるよね。でも、世の中は寂しい人たちが多いから、それはそれでかまわないという人たちも存在するし、それでいて、そういう人たちと一緒にされても困るなーとは以前から思っていた。
『時空短歌』というと、恋の短歌というイメージがあるのかもしれない。だから、そこを突くと怒る人がいるのかもしれないとふと思う。「りんちゃんもそういう低俗なことをいちいち相手にしていないで・・・云々」というメールをもらったことがある。つまりは、低俗だと知っているんだな。まあ、こちらとしては他人さまがどのような活動をなさっていようが勝手だけど、その手のノリの人たちがいつまでもやってくることが我慢ができない。そういうことを考えると、結社のほうがマシかもしれないよ。
それでも、逆に結社の人たちがネットで歌を発表するようになり、かなり変わってきた。歌の質がよくなったもの。それを考えると、どんどん歌をウェブにあげてほしい。これは大真面目に思うのです。「ネット短歌」とか、そういう狭い区分はもう通用しなくなる。インターネットを活用して歌人としての活動を続けることは意義がある。それを、電子書籍で無償配布したり、それを印刷して紙で出版することも簡単。オンデマンド出版だと、5万円くらいで本が作れる。それを自分のサイトで宣伝し、出版社から発送してもらう。そうすると、高い費用をかけて出版するのと違い、以前の予算で10冊くらい出版できるようになる。ただし、自分で編集しないとダメみたいだけど・・・単なるコピーをまとめて製本してくれるところもあるし、それを考えると、書籍の原点というのはそういうことなのだと知る。
でも、考えたんだけどね・・・何もわざわざ紙に印刷しなくても、サイトにアップしてあれば特に一生懸命に売る必要性はないわけで、プロの歌人になるとか、何がなんでも短歌で儲けようと思うのでないかぎり、自分のサイトに自分の歌をアップしておけば充分のような。最初に、こう、結社の人たちが言うみたいな”発表”という意識がなかったものだから、あまり深く考えたことはなかったけど、そういう意味では、結社誌へ投稿して一覧表の中に歌を放り込むよりも、自分のサイトで気楽にアップしているほうが気楽かもしれない。もともとが歌の世界なんて狭いから、歌に興味がある人しか読まないよね。それを考えると、ネットのほうがランダムな来訪者が多いし、波及効果は高いかもしれない。つまりは、勝手にアップしておくと、勝手に知らない人がやってきて、勝手に読む。「読み手が書き、書き手が読む」、これがネットの特徴。だから、出版というのがもはや一部の人たちの仕事ではなく、誰でも簡単に自分の本を作れるし、売れる。単に、サイトのコンテンツにしておいてもかまわないし・・・自分のサイトでやりとりされた歌をアップしておくとか、その程度の代物なのかも。
昔読んだ記事に、インターネットは匿名だからというのがあった。基本が匿名だから、自分の場合、発表という意識が欠如していたのかも。BBSでやりとりしていた歌を『NHK歌壇』に送っても文句言われたことないし、逆にその歌から自分が白石であるということがネット関係者やサイトの来訪者にばれる。あたしの場合はばれて困るようなことはなかったから気にしたことはなかったけど、ジャンキーの世界は完璧に匿名に徹してコミュニケートしている人も多いから、それを考えるとどうなんだろう。こーね、親しい人にだけ個人情報を提供するという風潮があるから、個人情報がばれるのがいやな人たちも多いし、それこそストーカーとか?だったら、そういう人たちとはコミュニケートしなかったいいのに、ついBBSだとカキコがあればレスを書くし、BBSでやりとりしているうちに、親しいという錯覚が生じたり、困った世界なのよね。レスを書かないと怒る人もいるし・・・というわけで、BBSがないということは気楽だ。
やっぱ、発表という感覚のほうがまともなのかもしれない。それでいて、某教会のサイトでは、「個人名や個人情報を書かないでください」ということわり書きまである。個人情報がばれるからである。ちなみに、サイバー上で他人の個人情報を書くと警察沙汰になります。サイトはまったく知らない人の来訪があるから、教会の関係者だけが来訪するわけではない。だから、投稿するときにもハンドル名を使うというのが一応のルールなんだけど、それもなんか知り合いしか来ないようなサイトで、「えっとぉ、このハンドル名は誰だっけ?」などと悩むのも情けない。つまりは、身内だけの会話ならBBSなど使うなということなんだろう。学校のBBSだと先生の悪口を書く人がいるから、BBSを置かないとかね。書きたい気持ちもわかるけど、知らない人たちからすれば単なる誹謗・中傷だから、関係性が見えない世界においては、常に第三者のことを考え、知り合いに対しても第三者として書くつもりじゃないと、知らない人が読んだら誤解が発生する。そもそもがそれが電子文字の弱点でもあり、長所でもあり、それでいて発展性がある。
いずれにせよ、歌を発表するだけなら何も問題ないけど、歌人同士のコミュニケーションとなるといささかネットはややこしいかもしれない。それと、サイバー上の問題点を理解していないととんでもない落とし穴がある可能性も高い。まあ、クルマを運転すれば事故が増え、テレビや本は目を悪くするし、ネットも便利なツールだけど危険性も高い、というのが常識なのかもしれない。
ネットがメディアとして注目されるというのは、それだけ質の高いサイトが増えたからでもあるし、ネット短歌=低俗?というイメージを払拭するためには、質の高い歌を詠んでいくしかない。カラオケ歌壇とか、大衆化とか、サブカルとか、たしかにお手頃なイメージはあるだろうけど、要するに出版物にもいろいろあるようにサイトにもいろいろあるということであり、世の中にはいろいろな人がいるようにネットにもいろいろな人がいる。パソコンは単なる道具である。道具を使うのは人間。

投稿者 Blue Wind : April 3, 2004 02:12 AM
コメント
コメントする









名前、アドレスを登録しますか?