祭の日むすめに浴衣着せれどもおやの浴衣は箪笥のこやし 帯紐の足りぬにあわて取り出だす母の小箱にわが名を見つけ 薄明かり大真面目なる詩心の真面目に読めぬ黄昏時よ 天空に気ままなるまま翔けゆく日大真面目なる人の死に絶へ 麗しきかごとの渦のいかにせん過ぎたる日々の戻らざりけり 生きること悦びというその人の地の根しずもるタイムカプセル ひっそりと目立たぬように息づく日森の木霊のわれを呼びたり りんさんはなにを詠みたい詠いたいと問われいぶかむ空は黄昏る