水車小屋こおり張りつきまわりたる苔むす巨木、小町の里は
山肌に身を寄せたるや墓の主まつるまつらん空ゆく雲は
焦げ茶山こえゆく雲はしらじらと身を倒さるる雲の流れに
禿山の正体を知る砂埃浴びつつ走る真っ青な空
現実の終わりの日には始まりの交差するみち子らゆきすぎる
送り出す未来の一歩軌道には月のめぐりぬ空青くあり
靄の中みえぬかたちの子らの夢運びぬ風は吹きぬけてゆく
冬薔薇の濃く色づきし陽だまりの白い空気と白いガラスと
大判のまな板を置く調理場の横にはドーナツ固まり候
コーヒーの温かいうち召し上がれ。冷えた指には熱きカップを。
寒々と椿色した薔薇の花蕾のままでクリスマス待つ
去年の冬、椿ツリーが咲きました。今年は薔薇が背筋をのばし。
今宵にはドアには吾子のつくりたるリースがひとつ。新年を待つ。