October 30, 2005

【今日の短歌】 半袖で秋の終わりを迎えればざくろの実生り色水の味

りりりりりん。待てば鳴かねど秋虫の透きとおる夜は気長伸びゆく
半袖で秋の終わりを迎えればざくろの実生り色水の味
バグダッド、シンドバッドの冒険はざくろのようなルビーを拾う
冒険は果てることなくつづく旅少年の夢弧を描きたる
太陽はめぐりゆけどもかたちには東へ西へ空の旅路か

投稿者 Blue Wind : 03:52 AM | コメント (0) | トラックバック

October 29, 2005

【短歌】 英雄は黒黒として聳え立つ鋭利な刃物つきたてている

君死して今何のため嫌われて呪われて肉まつられ拝み
あのように生きるがよしと子らなどに言えるわけなく苛立ちの杜
国のため生きるがよしと蓮っ葉に砕け散ったか野の向こうには

英雄は黒黒として聳え立つ鋭利な刃物つきたてている

野の花よ、森の木霊のいくせんの声にも似たり、風の向こうは
苛立ちは武勲の文字をかろがろと祭ってみては死に絶える、人

公務員減らして増える軍事費に騙されてみて科学立国

軍隊は政府の犬と書いていたあの本の意味老眼で知る

オトくんは勇敢に吠え勇ましく玄関の前飛び出してゆく
マリちゃんは好奇心ゆえドアの横身を滑らせてしっぽふりふり

虚しさをすこし感じるドアの前くらがりの中犬だけ吠える

憤り、遠のいてみて無邪気さが胸につかえた小骨の罪に

英雄に天国はなし英霊は小骨のようにたたずんでいる

投稿者 Blue Wind : 02:07 AM | コメント (0) | トラックバック

October 27, 2005

【今日の短歌】 時間すら凍ってしまった箱の中開いてみれば青白き空

濃厚な冬の気配のしのびよるクリスマスにもまだ遠い秋
ふと開くヨブ記の文字にみことばは彼女の記憶、静かに遠く。
時間すら凍ってしまった箱の中開いてみれば青白き空

投稿者 Blue Wind : 12:31 PM | コメント (0) | トラックバック

October 20, 2005

【短歌】 うねうねとすすんでゆくか風のみち ほむらの尾花ゆれて秋そら

うねうねとすすんでゆくか風のみち ほむらの尾花ゆれて秋そら
台風のおきみやげかなゆうやけがうつくしすぎて大地もゆらす
あわだちそうせいたかのっぽにゆれる原すすんでゆくかつめたい足音(あおと)

情報がたちまち秋を覆うよう電話の音がおおげさに鳴る
ゆうやけがおおげさなほどうつくしくガラスのなかにいくつも融ける
おなじそらいくつも浮ぶガラス戸はもどかしいのかうつくしいのか

おなじ席ずっと座ってゆうやけは吾子の通い路つくろっている

投稿者 Blue Wind : 02:18 AM | コメント (0) | トラックバック