○ 日が昇り日が照り続き旱魃でうどんはどうなるオーストラリア小麦(字余り)
☆冷凍のさぬきうどんの白色に小雪がまじり冷蔵庫味
☆電ノコでつるくさを切る葉の影にからまりし蟻隠れ住みおる
けっこう、じめじめしてた。
○ 吊り下げた洗濯物を越えて見る どこまでも青く紫の空
☆ながながき一日(ひとひ)を飾る栄光の落つるのを待つ。空、まっしろけ!
☆Tシャツの裏よじのぼる蟻しぼりあげ腹刺した蚊の姿なき庭
本当に庭仕事、きつい・・・
○まさぴんさん ☆あたし
やけっぱち どんぶらこっことうたよめば焼けつく砂も一寸法師
妖精か死んだジジイかネット葬 生きちゃいるけど流れる雲母
ちっぽけな梨をみつけた庭の隅、嵐みやげの折れた捨て傘
葉がふたつ大きくみえるちっぽけなひとつの梨のみずみずしさは
信じろと言わんばかりにちっぽけな梨を残しつ、あまた星浮かぶ
花火にはなりたくないと夜空には星が浮かんで雲にまぎれる
遠い星 近い花火の夏空は 見えぬ花火にいらだちもする
こころいたみつかもとの死を生(あ)れてあれ床を討つスーパーボールのくぐもれる音
テレビには我が儘にして魔力あり しのびよる声割れてしまえば
苛立ちは床うつボール澄み切らず逃げ場なくした響き重かろく
細々と星にまじりて飛ぶ光り飛行機の点いみじくも夜
憎悪にも似た夢のごときまひる陽は雲へ雲へと彷徨うがごと
灼熱にとりのこされたままドアあけぬ文字おどるわがハンドルは
折れた傘 どこから飛んできたものか台風の朝、灼熱の昼
ひんやりと薄暗がりの玄関で飛び出す犬と脱げない靴と
鍵の音背にうけてなお脱げぬ靴まどろこし昼、眠気と吾子は
屋根のうえ歩く人みてありきこと初めて知つたアパートの尾根
蝉の声、嵐の声のくりかえし。雨の音さえかんかん一つ。
蝉の声、スコールの海、蝉の声。雨の響きは家のガラス戸。
台風を待っているよな今宵にはひかり漏れいづ冷蔵庫あり
予約などなけりゃいいのに明日朝は同じこと思う患者とあたし
台風の前にあらくさ刈りこんで顰蹙だろか風がわるかろ
のんびりとうたでも詠めるあらしの日、はよ来いあらし、はよ来いねむり
真夏日と嵐の夜とくらぶれば飽きてしまった熱のおもいで
ぐったりと終わった夏を背にのせてキーボード打つ気だるいしごと
台風のニュース被害と申すならこの3日間暇もてあます
どしゃぶりはまだましなんです夏だから。日照りと雨のくりかえす朝
台風に寸暇惜しんで鳴きつづく蝉のいる夜の静寂やぶり