December 25, 2005

農道を抜けたら、クリスマス

今年のクリスマスは、少しもこころがはずまない。子どもの頃から、この季節には何かしら明るいムードがあふれ、寒さと明るさが混在した不思議な世界が訪れる。ところが、今年はこころがはずまないどころか、ライトアップされた街の装いすらどこか虚しく感じられる。

美しくライトアップされた街並みやショッピング・センター。ショップもクリスマス・ギフトが並び、キャロルスやケーキ?

予約してあったケーキを受け取りに行った。なんと警備員がいる。最初、交通事故かと思った。ウィンカーを出すと、道へ出るクルマと入れ違いに駐車場に誘導される。あとになって気がついたけど、たしかにひっきりなしにクルマがやってくるため、係りの誘導がなければクルマが出入りできないためにパニックになっていただろう。

クリスマスらしさといえばそれくらいのもので、あとはいたって普通の日常が続く。

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クリスマス・イブだというのに不動産屋へドライブ。イブであるという前に土曜日であり、夫婦で揃って出かけられる日というのは限られてしまうため仕方がない。わが家の近所の不動産屋はすでに合格の決まった学生たちが部屋を探しにきているため今の時期は忙しい。このため、センターまで。

おそらくは、家を建てる土地を探しにきた人たちが数組。あるいはファミリー向けの賃貸か。

わたしたちは不動産屋が手馴れた手つきで条件に合う物件を探すのを眺め、いくつかピックアップしてくれた資料を眺め、コピーを貰って店を出た。そういえば、賃貸だったらいちいち不動産屋さんが現地まで案内してくれたなぁ・・などと思いながら、土地には鍵がないため自分たちで周る。

わたしは、この2ヶ月くらいあちこち土地を眺め、資料を探しているために、近頃では少し飽きてしまってきている。

ダンナが知り合いの大工さんが建てたという医院を見に行きたいというので延々と渋滞の道をドライブ。電柱の案内を便りにようやく現地にたどりつく。いつもなら30分くらいで行けるはずなのに渋滞と複雑な道に翻弄されため1時間半かかってしまった。印象としてはごく普通の住宅という感じ。

で、それからだもの・・・土地を見に行ったのは。

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なんか、こう、次第に無関心になっていく。ダンナの職場が変わるというだけのことで、次第に興味が消えていく。ある意味、例の如く家計簿を買ってきたため、とりあえず家計を維持するに必要な額を説明し、それを圧迫しない程度であればどうでもいい、というのが無関心の理由。

もともとが都会の人であるため、彼が農村の感覚にどの程度適応できるのか懐疑的であるというのもその理由の一つ。引っ越すつもりはない。

ただ、家に近い道でありながら、何年もその分岐点にある道の前を通りながら、一度も通ったことのない道を通りわが家のほうに戻ってきたとき、何かどこか不思議な見知らぬ世界を感じた。戻ってくる途中、カーナビを眺めながら聞きなれた地名でありながら見知らぬ隣地を通り抜け、途中で昔ながらの商店街や江戸時代からありそうな旅館が建っているのを眺め、今でも近所にこういう世界があることを初めて知る。

農村から農道を通り、見慣れた世界へ戻ってきた、というだけのことなんだけど、タイムスリップしたような光景を抜けてきたせいか、あるいはケーキ屋の前に3人の警備員がいたせいか、どこからともなく集まってくるクルマや人が一体どこから来ているのかとても不思議な気がした。

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昭和初期から続いているような街並みの一画に、平凡な医院。
ひたすら駅前のマンションが並ぶような光景にも飽き飽きだけど、どこかひなびた商店街のわびしさにもいささか寂しいものを感じ、そこから農村を抜けて、賑やかな通りに出ると、そこさえもどこか寂しい街並みに見えてしまう。

そこで、訪問診療とか?

なんて言ったらよいのかわからない。ただ、なんと言うか、近くて遠い世界を潜り抜けて家に戻ってきたという寡黙さはあり、家の中には友達の家から戻ってきた娘が1人でゲームをしており、オトとマリはお腹をすかせてはしゃぎまくるし、果たしてそういう生活がこの先待っているのかと思うと、どこか無関心にもなるのも仕方がない。

でも、まあ、年を取るというのはそういうことで、こういう平凡さのために、あの激務があったのかと思うと、医者というのは不思議な人種という気がしてしまう。

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まあ、なんでもいいや。

メリー・クリスマス!

投稿者 Blue Wind : December 25, 2005 02:24 AM | トラックバック
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