July 31, 2005

深呼吸したくなる世界

子どもの世界が残酷なのか、学校がそういうところなのかわからないけれども、幼児の頃から子どもたちを観察していると面白い反面ストレスがある。

たとえば、幼児の頃に公園でやりたい放題だった子は、学校へ行くととたんにへなちょこになってしまう。公園だと母親がいて、一応は叱っているフリをしながらもわが子を甘やかす。頼むよ〜って心の中で思っても言えば親同士が喧嘩になるから逃げる。ところが、学校ではそうやって庇ってくれる存在がいないため、女の子からでさえバカにされる始末。先生曰く、今は女の子のほうがだんだん強くなり、平気で言い返すし、負けないらしい。

2年生の頃、登校拒否になった男の子がいた。特に何に問題があったわけでもなく、事実、上のお子さんたちは普通。理由は、学校には「お母さんがいないから」だそう。一瞬、「はあ?」って思ったけど、うちの娘も3歳の頃あまり幼稚園へ行きたがらず心配したことがある。その時も、後になって知ったのは、「お母さんがいないから」だった。

ダンナがテレビを観ながら、娘に言う、「女王の教室」へ入れようかな〜と。まあ、親からすればあれくらい厳しく躾けてくれるほうがすっきりするというのもある意味本音だろう。そういう視点から眺めてみると、大抵は親が子どもを甘やかすというクレームが世の中に蔓延している昨今、親の代わりにビシバシやってくれる存在は貴重なのかもしれない、おとなにとっては。

うちの娘の反応は、「いい子ぶりっこするからいいもん」というセリフ。
う〜む・・・・
まあ、たしかにいい子ぶりっこしてたら叱られないから。
公務員の街のせいか、そういえばやけにいい子ぶりっこが多い。うちの娘でも学校と家では様子がまるで違う。そういうのはわが家だけかと思っていたら、どこの家でも大抵はそんなものらしく、公園ですらしゃきっとしてしまう。で、家に帰ったとたんに、「ふぅ・・」となるらしい。親からみても、よく疲れないと思って感心してしまう。

そういう傾向は学校でも強い。たとえば、以前、担任の先生が語っていたのは、普通だったら先生が注意するべきところを子ども同士で注意しあうということ。やって良いことと悪いことがはっきりしている。でも、これの弊害もある。それがイジメにまで発展する可能性が高い。その理由がはっきりしているところがつらい。

たとえば、女の子が嫌がることをする。耳を舐めたり、消しゴムを勝手に取ったり、打ったり、水を掛けたり。あっさり語れば、迷惑行為をやめたら終わる。ところが、先生が注意しても直らないし、親が叱っても無理。そのうち親から電話が掛ってきて弁解が始まる。男の子だし、親に甘えているようなものだとか、幼稚なだけだ、とか。わかっちゃいるが、やられている側は次第にその子の隣の席は嫌だとか、同じ班になりたくない、となる。

イジメって何だろう?

女の子の親からしてみれば、自分の子が男の子にイジメられている、と言う。そりゃそうだよね・・・耳を舐められたり、水を掛けられたりしたらたまらない。その結果、それを先生に言い、直ちに席替えしてもらったり、登校班を変えてもらったり忙しい。

その結果、「あいつは悪いヤツだ」ということになり、嫌われ者のレッテルが貼られる。そうすると、ある日の放課後、理科室か音楽室にいた生徒たちが皆でその子がベランダに出た隙に窓に鍵を掛けてしまった。それでもベランダ伝いに隣の教室から中へ入れるし、一過性のものならそれで終わる。が、しかし、問題はその時締め出されてしまった子が怒って窓を割ってしまい怪我をしたこと。

娘はその時その場にはいなかったけど、その子が怪我をしても、「自業自得」で終わり。まあ、たしかにそうなんだけどね・・・たしかにそうだ。いつも悪さばかりで、その時だってまた何かやったのだろう。それで女の子たちに締め出されてしまった。でも、隣から戻ればいいじゃん、で終わるはず。なのに怒って窓を割ったのは本人が悪い、というのが理屈らしい。

どっちが悪いというより、そのストレスが1クラスしかないためずっと卒業するまで続いていくほうがたまらない。

直ったら終わる。それもまた事実。なのに終わらない。

そんなことを考えると、普通だったら逆だろう、と思いつつ、娘がそういう子のいない学校へ行きたいと語る気持ちもわかる。要するに、厳しい学校へ行きたいのだそう。年中すったもんだしては加害者の子の親のほうがもっとつらいんです、と言われ我慢を強いられるのにもうんざり。わかっちゃいるが、すっきりしない。だったら先生が厳しく言ってくれるところのほうがいいらしい。

たまに思うんだけど、うちの娘は逆に自分がそうやって追い込まれる立場になるかもしれない、と思わないのかな、と。親としてはこれから思春期を迎え、わが子といえども何があるかわからないと心配している。それがかくもあっさりそうやって切り捨てられると、それはまたそれで心配。

世の中って、案外、悪を孕みながら存在している。イジメというと、昔は弱いものイジメとかね・・・そういう印象だったんだけど、どうも近頃は違うらしい。最初に悪があり、それに対するキャパが狭い。そうすると、コンセに従いねちねちしたイジメに発展する。で、何かの拍子に爆発する子が後を絶たない。

投稿者 Blue Wind : July 31, 2005 04:10 AM | トラックバック
コメント
コメントする









名前、アドレスを登録しますか?