July 21, 2005

『世界の大思想22 パスカル パンセ』 パンセ著 松浪信三郎訳


右側に貼ってあるのは松浪信三郎訳の『ワイド版世界の大思想 (2-5)』 (河出書房新社)。わたしの手元にあるのは大昔の普及版で、表紙も青と黒の縞模様。分売価格が出ているところを見ると、さすがにこれでは売れないってことなんでしょうか・・・3期に分けて14冊ずつセットで発売されるみたいなんですけど、「きゃーっ」って感じ。

ちなみにモーリヤックも1巻と5巻は持っているようですね・・・わたし。それを考えたらなんか悔しい。それでも復刊したことを喜ぶべきなのか、すごく複雑な心境。わたしの手元にある『パスカル』は1500円。ペラペラの表紙。それでも捨てない。

この本を買ったのは、どうやら高校生の頃らしい。少なくても大学へ入ったら哲学関係は読まなくなったし、昭和54年の3版を買っているから。中に赤いボールペンで線が引いてある。ずっと忘れていて、今、そのチェックした箇所を読むとドキッとしてしまう。どうやらわたしは第三篇までしか読んでいないようだ。


わたしが赤線を引いた部分。

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52 「田舎者でなければ、田舎者とは言わない。」
80 「びっこの人間は別にわれわれの気にさわるようなことはないが、びっこの精神はわれわれに腹を立てさせる。」
   「われわれは、頭が痛いのでないということ、びっこでないということについては、自分ではっきり確信が持てるが、真なるものを選んでいるかどうかについては、自分でそれほど確信が持てない。」
104 「けれども、義務を思い起こすためには、自分の嫌いなことをするように心がけなければならない。」
108 「ただ嘘を言うのが目的で嘘を言う人もあるからである。」
118 「他のすべての才能を規定する主要な才能。」
123 「彼は十年前に愛したその人を、もはや愛しない。」
129 「われわれの本能は、運動のうちにある。まったき休息は死である。」
136 「些細なことがわれわれを慰めるのは、些細なことがわれわれを悩ますからである。」
154 「汝のほうが有利なのに。私は武器を持っていないのだ。」
193 「小事を蔑視し、大事を信じない人たちは、どういうことになるか?」
233 「無限の上に一を加えても、無限は少しも増加しない。・・・・・・有限は無限の前では消えうせ、まったくの無になる。」 
    「それゆえ数の無限が存在するということは真である。」 
    「われわれはそれが何であるか知らない。」

(『世界の大思想22 パスカル パンセ』 パンセ著 松浪信三郎訳 河出書房新社 より引用)
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今日一つ付け加えるとしたら・・・

194 乙 「上品さは、親切気のないほうへ向かい、よい信仰は、他人に親切であろうとする。」

『パンセ』は、パスカルが『キリスト教の弁証論』の著作のための覚書として書き残したメモを遺稿集としてまとめたもの。『パンセ』というタイトル名は後から呼ばれるようになったものらしい。何気ない言葉にドキッとさせられてしまう。

この本が未読で終わっているのは、わたしが当時あまりにも若すぎたからだろう。高校生・・・ハードロックを聴きながら、漫画を読み、友達と将来のことや恋愛の話に明け暮れていた。受験勉強の合間に読んでいたんだろうな・・・

わたしがパスカルの言葉を理解していたかどうかはわからない。それでいて屁理屈ばかり言っていたのは、こんな本を密かに読んでいたせいかもしれない。理解するのも大変だっただろうに・・・かわいそうなあたし。ただ何となく心に残った言葉に線を引いていっただけのような記憶がある。頭に残ったのではなく、心に残った言葉。四半世紀の空白が埋められてゆく。

投稿者 Blue Wind : July 21, 2005 03:03 AM | トラックバック
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