December 21, 2004

限界

昨日、入院している子犬のマリちゃんの容態が急に悪化したというので、慌てて病院へ行く。前日までは食欲も回復して、クリスマスには家に連れて戻れるかもしれないと喜んでいた。なのに、いきなりそれまでもつかどうかわからないという・・・

夕方の通勤アワーの渋滞をイライラしながらクルマを走らせ、到着するとまるでお通夜のような静けさ。その前にダンナが行って容態を説明されているので、もうスタッフの人たちとお話することもない。

小さな畳一畳分くらいの大きさの部屋の中にマリはいる。銀色の檻の中。行ったらちょうど輸血をしているところで、人間用のチューブの先にもう一つ細いチューブがつけられ、点滴の孔に血液が入れられる。

あまりにもやすらかな顔をして眠っているので、死んでいるのかと思った。

苦しい時には苦しい表情をしているのが普通。なのに、昨日のマリは、あまりにもやすらかな寝顔で今にも死んでしまいそうだ。話しかけると、目を開けようとする。でも、微かに白目が見えただけ。それでも少し反応があったのがうれしくて、「マリちゃん」と呼ぶ。
鼻がひくひく動く。

名前を呼ぶと・・・・・鼻をひくひく動かす。
もうそれが精一杯のお返事。
そうやって思ったら悲しくなった。

あまりにもやすらかな顔をして、無防備に寝ている。
昏睡状態の年寄りのように、寝ている。
あれは眠っているだけだと言う。

看取るために、家に連れてくる。
ダンナは、今日では早すぎるというのだけれど、明日まで生きているかどうかもわからない。

それくらいマリアはやすらかな顔で寝ていた。

そうやってやすらかに息を引き取るお年寄りは多い。
でも、マリちゃんはまだ赤ちゃん。
まだ生まれてきて2ヶ月半。
人生の大半を檻の中で過ごしたことになる。
毎日毎日過激な治療。

インターフェロン、輸血、増血剤、点滴、検査、その他諸々。
最初に感染症だと診断されていれば、こんなに重篤にならなかったかもしれない。
ストレスから下痢だとかね・・・
10日目に入院して、ストレスが原因だ言われたとき、わたしはその場で転院させようと思った。
でも、それすら命取りになりかねないほど衰弱していたので我慢する。
どこがストレスなのか、もう一度説明してほしい・・・けど、すでに担当医は変わり、そんなことを言っていた女医はわたしの顔を見ると逃げる。

わたしは、病室を出ると、「かわいそうに」と、ひとこと。
ほかにどうやって語ったらよいのかわからない。

何も言わないほうがよいのかもしれない。

こんなことをぼやいていると、犬と人間は違うよ、と言われる。

ストレスからくる下痢だから、ペットショップで預かってもらって、という説明を受けた。一ヶ月の生命保証があるから、だ。つまりは、「ストレスが原因で病状が思わしくないために、ほかの犬とお取替えします」という具合にうやむやにしようという。その病院で予防接種を受けたのに、パルボウィルスに感染していた、とか、ペットショップで感染した、ということになれば、非常にややこしいからだ。
うちのダンナが医者だとわかったとたんに、濃厚な治療が始まった。

なんか、考えるのが嫌になるほど憂鬱になる。
せめて、マリちゃんが元気になってくれたら、救われる。

もう、泣くしかないのだろうか・・・

投稿者 Blue Wind : December 21, 2004 09:32 AM | トラックバック
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