November 13, 2004

風の中とけゆく羽を飛ばせども木陰の中にまた舞い戻る

アシジ、か。
娘を連れて美術館や教会を回ったり・・・祝福されて旅立つ。私のためというより、娘のために素晴らしいことだから。弟の嫁さんだけが、親が死にそうなのに、と言って怒っていた。今は、母を引き取ったので何も言えない。

娘は、鳩にパンをあげて喜んでいるだけのような旅だった。素直。

混迷の求める人ぞ十字架のイエス・キリストなぜか遠くに
闇の中照らす明かりは蝋燭の炎となりし暗き教会
死者の闇照らせば空は眩しくて青青き空宇宙へつづく
空の闇広がりゆけば月明かり眩しくぞ照る宇宙に浮び
地中よりいづる炎の消えゆかばポルチウンクラ地中の柱
地中より微かな明かり昇りゆけ空は瞬く朝な夕なと

バスは行く行きも帰りも同じ坂マクドナルドが標識となる
坂道の野原で降りる人影はいづこへ消えるバス停一つ
グレー猫狭き石段寝ておりし驚き惑い逃げ出してゆき
教会を猫に連れられ降りゆかば狭き石道ひっそりとあり
燃える陽を木陰に休む背中にはシガーボックス壁穴にある
鳩の羽拾い撒きたる石崖に風は舞い立ちふうわり戻る
風の中とけゆく羽を飛ばせども木陰の中にまた舞い戻る

ひりひりと焼けつく肌は木陰にて燃え尽きたかと鳩と戯れ
PAXと書かれた文字はカラフルに茶に緑にとネオンのように
蒼い屋根遠く眺めてたたずめば塀に座りし人らに紛れ
聖堂の白き天井眺めむれば惨劇一つここにもありき
空の星落ちてくるよな地響きはフランチェスコの見つむる壁に
笑みのない眼の光さえ冴え冴えと暗き御屋根の広がる下に
傷だらけアシジの町の裏通り重き扉の閉し並びたり
広き店飲み物だけが売られては誰も居ぬのにレジ待つ男

ダニエル書 3. 24-25

落書きはイタリア人の習慣と駅舎の絵文字車窓に眺む
坂道を延々とゆく途中にはガムの御籤の巻かれておりし
美しき空を詠めよと退廃はひねもすの文字うつつを眺む
儚くも苛立つ空の眩くも厳しき陽射し隠す雲なく
横切れば低きホームはすぐそこにあれども暗き階段下りる
遠回り好きなんだねとイタリアは客を乗せゆく細長き道
「日本語を話しているよ」と聞こえれば小さなおさげ前を歩きぬ

混迷は濃厚な影真昼かな照りゆく陽射し狭き歩道か
一列に並んで歩く真昼道寄り添う壁は切れることなく
ウンブリア壁の向こうに広がるかランチタイムとピザの匂いと
撃ちつける陽射しまぶしきウンブリア夕闇を待つ午後8時なり

ひたすら暑いという記憶しかない。雨も霧もない。夏。
教会入ると、真っ暗闇。
買ったとたんにアイスが溶ける。冷蔵庫もエアコンもない部屋。
暑いピザ屋の店内。真夏のストーブみたい。しかも窓もない。

扇風機入り口置かれ熱風をくるくる回す窓のない店
融けだしたアイス受け取り財布からコインを探す制限時間
ぐったりと通りの椅子で待ちたれば忘れた頃にメニュー持ちて来
鉄道はたくさんあると言われてはタイムテーブルしばらく見つめ
茫洋とラテン時間のひねもすは鐘に始まり炎天の夏
飛ぶか、鳩、そりゃないだろとパン撒けばいづこともなく集まり来る

ルカによる福音書 6. 27-36 敵を愛しなさい

炎天下浦島の子ら敷島の嵐を知らず陽に撃たれきぬ
炎天下浦島の子は母の顔二倍膨るる姿を知らず
濃厚な陰道歩く思いする炎天の陽を避けて通れり
殺伐と思い寄するか高き天地には伏す人転がっており
天井の白き空洞ながむれば光と闇とおとづるるまま
薄氷の希望のみちをあゆみつつ炎天下とは、炎天下なり。
壁のみち落書きながめあゆみつつこころのペンで翻訳しせり
しあわせの落書きながめ落書きは罪なくもあり罪深くあり

ぐわっ、朝からカキコが入っている・・・

ホセア書 5. 18-19

純粋に詩歌の好きな人たちだけって言っとるだろうに・・・また恥かくかな。悩む。
はっきり言おう。鬱々するから・・・


◇ご返歌
雨の降るしづかな野には尾花咲くうなだれ待つか雲間の月を
ロンドンの夏を思うか今日の陽は寒々として芝生の香る
茫洋の月日はめぐる彼方より新たな日々の訪れるかな
明日こそは新たな夢の広がるか旧き友さえつぎつぎ変わる
春薫る風の匂いに運ばるる散りゆく花を秋にてぞ思う

雨上がり小鳥の声の囀ればあいも変わらず名も無き君か
朝も鳴き昼をむかえて小鳥鳴く秋の庭には餌もなかりき

投稿者 Blue Wind : November 13, 2004 02:18 PM | トラックバック
コメント
コメントする









名前、アドレスを登録しますか?