何が不満かわからない病が始まってしまった。
すやすやと子どものように眠りつく母の顔みし吾子と並んで
知らぬ間に洗濯物の仕舞われた箪笥の中を驚きまどふ
PCの蓋を開けたり殺伐と冷えゆく思いぼんやりと出づ
わたくしは幸せなんだと思いいづネットの闇に鬱々となる
水底のさびしきおもいわきたればビル・エヴァンスも冴え冴えひびく
うたことば眺めてすごすゆううつにつぎつぎと咲く薔薇の花みし
迎合のゆくすえ遥かひねもすはうたかたの夢古今に飛びし
拍子抜け母引き取りしこと姑に告ぐは明るき声の響きぬ
マラキ書 3. 24 (旧約聖書さいごのページ)
人言に戸惑いゆかば薔薇の花秋風をうけ凍れる日まで
強風に不幸の海の波音は激しくもなり荒れ狂う空
これという怒れることのない日々は理解むなしき人らを忘れ
幸せの土台の上に立ちたればタカピーという言葉が似合う
あれこれと不幸の種を蒔かれては鬱蒼とした木立のごとく
ジーザスに小指一本引っ掛けて気まぐれな空見あげれば晴れ
マラキ書の最後のページ開きては破滅の園を行ったり来たり
これからが大変なんだと中越は揺れとどまれば雪の季節に
深き雪しづしづとして降り積もる静かな夜は退避をもとむ
美しき雪の降る夜はしづしづと春を迎える戦いの日々
わざわいは傷跡のこし忘らるる思い捨て去り降り積もる雪
わざわいの季節の中はそうぞうし工事現場の埃渦巻き
十年と五年の月日数えれば子どものような母の寝顔か
ひねもすは無為に流れて刻みゆく時計の針は同じ方向
ローマの信徒への手紙 1. 16-17 福音の力
みこころに小指一本引っ掛けて雲見あげれば問う風のあり
ささやかに芝生の匂い運びたる風薫る日はいつもの景色
壁ありき巨大の空に浮びたる迷い雲さえ小鳥の羽音
昼と夜同じ時間に隔ててるシュールな壁は色もなかりし
信号機狭き空さえ点滅を知らせるようなビル間の雲よ
並木道森になっては大変とおおげさなほど高く刈られり
竜のひげ並木の下に伸びゆけど幹はひょろりと枝もなかりし
台風で木が倒れても知らねえと言わんばかりに看板のあり
つくばねの並木のみちもさむぞらに凍えたような串焼きの葉か
走るみちものたりなくも信号はつぎつぎとすぎ落ち葉も浴びぬ
ふふみたる文字を追うより風を追う目線は遠く神に出会いし
エレミヤ書 4. 13-14
『エルサレムよ
あなたの心の悪を洗い去って救われよ。』
救い、の意味がわかった。
ちょっとしたことに救われる、けど、どうして救われたと思うのか自分ではうまく説明できない。
母の寝顔とか姑さんの明るい声とか、竜のひげが伸び放題なのにひょろりと枝を切られた木とか。なんとなくつまらないことに救われるから、よくわからないのかも。
なんか、こう、つまらないようなことなのよね・・・救いとは。なんておおげさな響き。
オトぴょんのうるうる眼とか。単に眠いだけなんだろうけど、救われてしまう。
はらわたが煮えくりかえっているようなときでも、ひょいと救われる。ひょいひょいひょい、ひょいひょいひょい・・・どちらかといえば、ぶったり蹴ったり叩いたり殴ったり皿投げたいくちなのに、ひょいひょいと自分だけ救われてしまう。なんであの人いつまでも怒ってるんだろう、と言われたほうは救われないのかも。
ひょいひょいひょい。
かんがえよう。
コリントの信徒への手紙 一 16. 1-4 エルサレム教会の信徒のための募金
世の中、今、募金箱だらけ。
雪の日の凍える前に青白き雪愛でたくば鬱箱に入れ
投稿者 Blue Wind : November 3, 2004 04:28 AM | トラックバック