June 08, 2004

尊厳

結局、一つわかったのは、人間としての尊厳の問題。
母はすでに自分では何もできない。話すことも聞くことも、食べることも動くことも何もできないに等しい。それでも、一つわかったのは、その姿がもはやかつてのように醜くは感じられないということだ。
とても元気で美しかった人が病人になる。しかも、母の場合頭蓋を開けてオペをしているわけだから、今でもその形跡がおでこのあたりにある。髪の毛も短く、もともと短かったんだけど、ああなると男か女かもわからない。
でも、最終的には尊厳の問題なんだろう。
誰でもいつかは年を取り、若い頃にできたことができなくなる。母のようになれば、何のために生きているのかわからないとかね・・・母だって、それなりに若い頃はあったわけだし、あの母がいるから私がこの世にいるわけで、最初からあのような姿だったわけではない。誰でも弱くなれば自信を無くし、もしかして意識があったならなおさら他人には会いたくないかもしれない。

が、しかし・・・
結局、尊厳の問題なんだろう。
寝たきりで意識のないような老人ばかりが集められた病室の中にいて、母が一番の寝たきりのような気がする。以前はとても苦しそうにしていたし、あの特有の重苦しさのある病室の中には説明できないくらいの重圧で濃厚な空気が立ち込めている。そういう中で、不思議に静かになってしまった母には尊厳がある。
尊厳なんだよなぁ・・・うまく説明できない。

自分があのような姿になったとして、そういう自分を私は受け入れることができるだろうか?

ってことなんだと思う。
少なくても、そうやって弱くなった自分をジーザスは愛してくれる。憐れみ。そういう愛し方。神の愛。平和。

投稿者 Blue Wind : June 8, 2004 01:15 PM | トラックバック
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