March 20, 2004

島国はまだらもようの鬱空に降る霙にしおれる水仙

歴代誌上 14. 13-17
歴代誌上 15. 16-24

目覚めれば霙降る朝暗き部屋暗き庭には水仙の花

雨が降る雪にもなれず霙降る重く切なく軽くもなれず
水仙の一輪咲きて霙降るしおれてたおれ明日を待ちたる
水仙にささえつけても無駄なこと朝から暗い霙降る日は

プーケット黒雲ゆくもかけあしでとおりすぎたる南国の海
透明なみどりの水に舟の浮く海がしづかに光受く島
島さえも隠してしまう黒雲は海さえ闇に沈めてしまう

さんご礁ひかりの海をつくりだす空へ空へと海にしずみて
白砂は焼けることなくつづきゆく冷んやりとして陽は輝けり
海のなかぽっかり浮かんでいる島は灼熱という冷蔵庫もつ

雨の日は南の島をおもいだす晴れた春には冷たい大地
わがままにわけしり顔に沈みたる逆さの世界おもう午後には
オトくんは言葉もたずにうずくまる歌人の吾をふしぎにながめ

霙降る暗い部屋には冷んやりと吾には見えぬ真冬のありき
寒い日は小さな蜜柑暑い日は大きな蜜柑食べていた父
寒い日は弱々しげにうずくまりうららな日には駆けまわるオト
冷んやりと日日をすごせばながもちに生きられなくに熱帯を思う

ランダムにりんご切たる皿の上プラスティックのナイフ置かるる

アフガンの実情を読む深夜には「ワーカー求む、男性」とあり
なに怒りなにを怒らぬ異邦人黒きベールはよそゆきの服
内戦のつづきぬ国はジーザスを預言者として今もうやまう
もどかしく言葉つうじぬ自爆テロ激しき怒りいずこへと消ゆ

黙読の実験をする編集者無意識のなか毒を飲む職

使徒言行録 8. 26-40 フィリポとエチオピアの高官

アフガンの山並みを背につどう人時代はもどり新約の時
大国の攻め込む国の内戦をかいくぐりては爆弾の降る
旱魃のつづきぬ国は地球泣く悲鳴をかぶり平和をもとむ

士師記 8. 1-3

霙の日水なき国の子ども等は歩いてここへ来たいと語る
あの山を越えればニッポンがちょこんとあると描きたる夢
今もなおロシアたおしたちっぽけな島国を思うアフガンの人
島国はどこかにあると知りてやも日本人見てハザラと思う

島国はまだらもようの鬱空に降る霙にしおれる水仙

使徒言行録 8. 32

投稿者 Blue Wind : March 20, 2004 03:16 PM
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