February 17, 2004

受難

歌壇や結社が白い巨塔だと言ったら、うちのダンナがせせら笑っていた。たしかに・・・本家本元は違う。昼間、加藤先生から電話がかかってきて、あまりにも元気のない声なので、何となく本当に心の底から元気がないのだということを知る。逆にこちらは快活であり、ますます元気。
「春樹さんにお会いしたら、へまさこは歌壇で暴れてるよ〜。」って伝えてくださいね。ってこと。売れると墓場の住人になってしまうことは熟知している。
このように白猫の周りには不思議な人たちがたくさんいる。

うちのダンナが真面目に訊く。「なんで短歌を詠みはじめたの?」と。今まで興味もなかったらしくそんな話はしたことがなかった。こちらも真面目に答える。「サイトでイラストが使いたくて、そういうサイトがあったから歌を投稿していたら、神父さんのサイトにお母さまの短歌がアップしてあって・・」と。それならよろしいということで納得していた。

うちは、真実の人じゃないとあかんねん。つまりは、宮本武蔵。つまりは、実力しか考慮しない。そういう冷たい世界。つまりは、そうでなければ、あっさり斬られることを知っているからかも。最初から結社に入って偉い先生について、ということでは相手にされない。それよりも草の根歌人を続ける。そういう中で本物を見つけろということなのかもしれないし、それこそ真実を見る。つまりは、歌なら歌だけ。名前など要らない。そういう真剣勝負の醍醐味。

白い巨塔で、研修医を終わったばかりで助手になる。腕だけだ。一度も大学病院を出たことがないというと皆驚く。大抵は、教授の言いなりで、あちこちへ飛ばされる。が、しかし、そういう経歴の裏側には過酷な現実がある。学会でシンポジストまでやって、国際学会へ行って、なおかつ学位がないのはうちのダンナくらいのものではないだろうか? わざと学位を出さない。逃げないように、だ。つまりは、うちのダンナくらいのクラスの医者に学位をつけて売れば高値で売れる。それがあまりにも悔しくて逃げようとすれば、どこまでも嫌がらせだ。奴隷以下。結核になっても使われ、ストレスのために突発性難聴になる。あんなところにいたら殺される。本当に殺されるところだった。発見がもう少し遅かったら、おそらくは本当に大変なことになっていただろう。偶然に救われた。
そういううんざりするような現実を救ってくれるのが、また患者さんとかね・・・皮肉だ。後1時間遅かったら亡くなっていたのに、あっさり止血する。ファイバー系の技術。うちのダンナのような平凡な医者が大学病院でこき使われるのは、それだけのことらしい。あんなヤツのためには働けないそう。でも、死んでいたはずの人が翌日ひょこひょこ歩いているでしょ? そうするとね、また働こうという意欲につながるらしい。放っておく。
そんなことより平凡に開業でもして、のんびり暮らす。そういうほうがいい。が、しかし・・・結局、かえるおやじと喧嘩したために、どういうわけか、いとこ弟子くらいになるんだろうか・・・かえるよりもずっと偉い先生に拾われて、学位がなくても好きなだけ金をやるということで、ほかの先生の倍の値段で買われた。かえるのところには金はいかない。かえるはげこげこ嫌がらせ。そうやって拾ってくれるのは、今はどこの病院でも経営難であり、金になる医者はほしい。それだったら、素直に開業したほうが・・と思うんだけど、また恩が出来て、しばらくはまたお礼奉公が続くのだろう。それは仕方が無い。だって、結核の時から世話になっている。普通だったら雇ってくれないと思う。が、しかし、治療しながら軽い仕事。命を救われたに等しい。

白猫はいつも優雅に微笑んでいなければならない。軽やかに微笑みながら、かえると喧嘩する。世間知らずと罵られ、それでも知らん顔。心の底から、あんたの世話にはなりたくないから。それを言っちゃーおしめえよ、と言われながらも言う。あんたがいなかったら、あたしはもっと優雅に裕福に気楽に天国なのよ、と言いたげに。だって本当のことなんだもの。あんたがいなければ、あたしは幸せなの、と言いたげに。だって本当のことなんだもの。本当のことを言うと怒る。そして、また疑心暗鬼と被害妄想で若い先生に嫌がらせが始まる。
まあ、かえるもかえるなりに大変なのがわかってるから、しらんかお。
どこまでも白い巨塔はえげつない。
かえるはかえるで、またつぶされている。
踏まないようにしないと。

が、しかし・・・・
加藤先生に声をかけられたら、喜ぶのが普通なのか?
たしかにうれしいけど、白い巨塔は間に合ってるから。それよりももっと気楽なほうがいいよね。歌人は素直に歌を詠む。
ネット歌人仲間も好きだし、最初にNHK歌壇で選歌してくれた心の花の伊藤さんも好きだし、こんなつまらないサイトをいきなりあちこちにリンクしてくださった塔の小林さんも好き。新人賞に応募した歌を見て、何となく覚えてくれていたらしい未来の殿さまバッタも好きだ。
なんかね・・・・本当の歌人という気がする。心の底から歌を愛しているというか・・・つまりは、歌しか読まないんだろう。そういう人たちは。

というわけで、いろいろあったけど、とりあえず、加藤研究室には室内のルールと秩序があり、あっさりクビになった。とりあえず、歌だけ送る。先日送った歌は、サイトにアップしていた歌なので、別に飯田有子さんの歌を読んで、その勢いで10首書いて送った。

ほんじゃ、加藤研究室は、そうやって新人イジメする体質なのか?ってことになるでしょ?
それを言われるとかなり精神的苦痛になるらしい。それで直接電話がかかってきた。そういう体質があることも事実だけど、そもそもが結社とはそういう世界らしい。同じ結社の中でも、岡井さんと近藤さんはライバル同士で、昔から仲が悪いのだろう。ってことで、あたしがいきなり近藤さんのところへ歌を送ったら、逆に歓迎されるかもしれない。

もう、うんざりなの。そういうのは・・・
そういうのがいやで歌を詠んでいる。

だから、うちのダンナが訊くわけですよ。どうして歌を詠みはじめたのか?って・・・・
草の根歌人、りん・ほととぎす。受難はつづく。

あ、心配しないでくださいね。加藤さんはジローさんになって白猫をバックアップしていってくださるそうです。だから、どういうわけかメル友になってしまったようです、はい。

ついでに告白すると、ドラマの白い巨塔は一度も見たことがないのです・・・おそらくは一生見ないと思います。

投稿者 Blue Wind : February 17, 2004 03:55 AM
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