January 13, 2004

『レ・ミゼラブル』の翻訳企画

著作権というのは、どうしてこんなにややこしいのだろう。仮に著作権切れした作品であっても、それをリライトすればリライトした人にまた著作権が発生してしまうし、国によっても法律が違うために、例えば、アメリカのサイトからeBookを落とそうとするとそこのサイトの帰属する国の法律に従わなければならない。しかも、アメリカでは法改正が何度かあり、書かれた年代によっても権利の長さが違うらしいし、最長95年は著作権が存続する?これに加えて、ディズニーがどうして著作権切れしないのかというと、毎年誰かが作品を描き直ししているからであり、そうするとさらにそれに著作権が発生するために未来永劫著作権は保護されるという仕組みらしいけど。

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まあ、そこまで莫大な手間ひまをかけて著作権を存続させるためにはそれなりに莫大な費用がかかるわけであり、一般のユーザにはあまり関係ないような気がするけど、それでいてウェブというのは基本が無償提供の世界だから、これが積み重なると大変なことになるとばかりに、いつの間にかこの世界にも使いたいなら金を払えという風潮が蔓延してしまった。
かつてはどこのサイトにもうるさいくらいMIDIが鳴っていたものだけれど、今は昔に比べるとかなり減った。それでも使いたい人はライセンスを登録したり、すでに著作権切れした曲を自分でアレンジしてMIDIをつくっている人もいるし、オリジナルを無償配布したり、つまりは著作者が無償提供すると言えばそれで終わる。だから、著作権料を支払っている人、あるいは作者から許可を得た人がさらにそれをリライト(サイトへのアップも含めて)すると、著作権が新しくその人に発生するために、誰かが無償配布します、あるいは著作権を放棄しますと宣言すれば誰でも自由に使えるようになるらしい。

そこでまた始まってしまった。今度は皆で『レ・ミゼラブル』を翻訳してウェブへあげようという試みらしい。
作品自体はすでに19世紀のものだからとっくに著作権切れしているけれども、それを翻訳すればした人に著作権があり、さらにそれをウェブにリライトすればした人に著作権がある。このため、無償提供しているサイトは作者から著作権を買うか許可を得て、あるいはボランティアによりリライトしたり、法的な手続きを経てサイトを運営している。
このため、いざ自分がサイトで使いたい、印刷したいと思っても、同じ作品なのに、どこから提供されたかがとても重要になってしまう。まったくバカげているとは思うんだけど、そういうサイトをつくるには仮に大学であっても莫大な費用をかけているわけで、従ってウェブといえどもサイトごとに規定がある。そんなに厳しいわけではないけれど、いちいち許可を得るとなると時間がかかる。というわけで、あちこちを探す。
探せばある。「ロイヤーに追いかけられても、これを見せればOK」などと書いてある。というわけで、もっと使いやすいサイトはあったのだけれどそこは諦め、Project GutenbergでファイルをDLすることにした。日本で言えば『青空文庫』みたいなものなんでしょうけど、著作権切れした本からせっせと誰かが入力するという作業は結構面倒くさい。これって作者にしてみれば、死後数十年を経てなおかつ誰かが自分の作品を読んでいる、あるいは聴いているわけで、作者冥利に尽きるような気がするし、死者は何も言わない。
が、しかし・・・・結局は、出版業界の問題なのかもしれないし、サーバも結構うるさい。うっかり、「これはわたしの好きな詩です」と言わんばかりにサイトにアップすると誰かが真似をする。すると、たかが1つや2つと思っていても、検索するとおっそろしいほど出てくるからね、ネットは。というわけで、引用先が明示してあり、評論や感想などに引用する分には著作権法には引っかからないらしいので、常にリライトするくらいの心がけがないとうっかり転載もできないということになる。

一番気楽なのはオリジナル。自分で書いて、それをアップしている分には何も言われない。詩でも短歌でも駄文でも自分で書いちゃう。ブログを使っていたりすると、RSSで誰でも簡単に落として読めるらしい。詳しいことはわからないけど、この前、そういうサイトのURLからの来訪者があって、初めてそういうBlogのRSSを検索できるサイトまであることを知った。確かに小説などは長いから、オンラインで読んでいる人たちなんていないよね。今は常時接続が当たり前になったからオンラインでも大丈夫だけど、オフラインで読むことを前提としてサイトを構築するくらいじゃないと本当はダメなのかも。

それとは別に、名作などをウェブへあげる。これは完全にボランティア。だって自分で読みたかったら本屋で買って読めばいいし、それでいて案外売ってなかったりするわけさ。この前も『レ・ミゼラブル』を探したけど無かった。児童書の中に1冊あっただけ。自分としては完全本のほうを読みたかったんだけど。ならば・・というわけではないけど、とりあえず英語だったら読めそうな気がするのでこれを落とす。ついでにサイトのコンテンツにしてしまう。だって、やってもいいし、それを奨励するってサイトに書いてあったから。
つまりは莫大な費用と手間ひまかけてどうしてeBookを無償提供しているのかというと、皆に読んでほしいからなんだって。(そりゃそうだ)
多くの人たちに伝えたい何かがあるからそうやって名作は伝えられて行くのだろう。というわけで、翻訳も自分のためのオリジナルで勝手に書く。エキサイト翻訳で訳すより幾分マシならそれでよしとせねば。タダなんだから。学生時代を振り返れば、おっそろしいほど英文を訳せと言われたような気がする。そういうテキストの1つにもなるのかもしれないし、原文をアップするのにも意義があるのかも。

良いものはね・・・・皆で伝えていかないとダメなんだよ。なんか、こんな駄文にも著作権があることが申し訳ないような気になる今日この頃・・・・

投稿者 Blue Wind : January 13, 2004 12:47 AM
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