November 21, 2003

その糸は生きるにいらぬと捨てられた人形にも似て匂ひとかはる

四方山話と今日の歌
せつなさを聞かせ続けたサボテンに見たことのない花が咲いたよ
天野慶さんの歌

コメント「せつなさは甘く苦くてサボテンに聞かせるしかなかったのです。」

★歌葉より
http://www.bookpark.ne.jp/utanoha/


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というわけで、とうとう自分専用の詩歌集をつくってしまいました。
http://bluewind.oops.jp/cgi-bin/anthology/anthologys.cgi

「また、りんさんは自分のためだけに〜!」
って叱られるでせうか・・・?

うたかたの甘くせつない恋歌はわがこころだに響く音なり
あまつさえ人の数だけ恋のある世界はひろくひとりしまえり
恋歌をたれに聞かせてどうなるや恋の話は友と長電話
恋愛の話ばかりに明け暮れた友と話すは姑のこと

なんか、時を感じるな・・・

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◇お勧め本

『君のいる場所』
作・絵:ジミー(幾米) 訳:宝迫典子
小学館

せつないラブストーリーの絵本。

金城 武の主演で映画化されるみたいですね。
金城くんというのが、自分の大昔の彼氏にそっくりなので驚いたことがあるんです・・・初めて見た時。
すっごく面食いだったことがわかるかも。(ほほほ)

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気がつけばセオリー通りに生きている行動体の運命なるかな
行動を変容できず苦しむを箱につめこみ文字に置き換え

儚くも散りゐてしまうかもしれん世俗の垢にまみれるをきらふ
こんなでは生きていはけぬといはれしも時早すでに半生をすぎ
若き日は憂きことおおく迷い道迷いながらも月日は流れ
迷い道もういいだろうといふ意味は生かされているわれもおばさん
ひねもすを空中散歩にあけくれどよすがにかへす花の咲きたる
不可思議におもえどこれも運命と亡き伯母いふたセリフをおもふ
そのやうに生まれたならばそのやうに生きてゆくしかみちはないらし
手に汗しはたらくことのなきわれの老後を憂くもいまをいきたる
長生きのせぬ家系にぞ生まれては案ずることのすくなき身かな
ぼろぼろになつたとしてもわれはなお詠むことだけに明け暮るるやも
きつかけはなんであらうとひねもすはのたりのたりと歌に変はれり
概念の浮遊する世界まぼろしのわれは生きたる歌のなかにぞ
これもまたひとつの運命くつきりと雲なき空の星座のやうな
歌もまたひとつの手段にすぎぬやもすぎゆくことのふりかえる間の
毒の息枯らさうとても石の花ときはうつろふ陽炎のごと
一枚の写真に見たり石の花好きともおもへぬガーベラの夢
石の花咲かせてしまえシンクロのちいさき萌し糸たぐりよす
年ゆきて話し相手に困るやもそう思うても今と変わらぬ
幼き日出逢つた人の記憶にも似ているやうななつかしの詩
文庫などほとんど捨ててしまつたが記憶のなかにしみゐる四十万
たぐりよす記憶の糸の先にあるねむりた過去の今よみがえるらし
その糸は生きるにいらぬと捨てられた人形にも似て匂ひとかはる
セルロイドなにも語らぬ硬きままなぜに微笑む誰もいずとも
子どもとはいのちなきものふりまわしおのが生きるをくちにたしかめ
世の中は大きな悪に驚かず小さな悪に大いに騒ぐ
ちっぽけな蚊をおいまわす勢いであなたの頬をたたいてみたい

クリスマスちかづく時期だけつかおかな声をかけあふBBSかな
どうしてかウキウキとするクリスマス街がきらきら光るからかも
なにげなくつづく日常とりもどす平和のベルの高らかに鳴る
木枯らしの吹く冬の日のいろどりのリースをながむ子等と歩きつ

トランタッタなにを思い立ったかや巻き舌の音練習しせり
エンジンの巻き舌のやうな音のするぱたりとしまる郵便ポスト

幾たびかすれちがふさまさびしけれ待合室によこたはるひと
車椅子のりて電話で話すひと笑い声さえひまをふくみし
今日の日の終わりを告げる24時始まりといふ0時に鳴る鳩

足りぬからもとめてあまる愛情の総和をもとむ日時(とき)といふもの
愛情に方程式があるのならつるかめざんで計算をして

水のある風景あまくせつなくば水面ゆらして風は吹きゆく
なだらかな山のうねうね続きたる赤い世界よ熊本らしき
なんなれば微笑みひとつ風まかせちょつとちがふでも気にしない
かへすがへす波のいろどり空の色エンジン音の背につたわりし
すみわたる雲なき空を見あげれば星座は光る四方の家路に
断食でワールドカップにのぞむとはエジプト人の摩訶不思議かな
真夜中にシャーデー聴いて歌を詠む昼には昼の歌の聴こえり
石段のかすかな隙に根づきたる可憐な小菊あわく揺れたり
アンテナで受信できないテレビかな妨害電波の空に飛び交い

悉くみちをつぶされゆくなかで残雪のごと春はおとづれる
美しく降る雪はなほ降りつもるあしあとつづくうえを歩きつ
ほんのりと青く光れる白き雪影といふ色ま白き大地
紫の陽射しの中につつまれて生きることをぞ透明といふ

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酔いまかせここまでやるかとおどおどとこわいものみてふきだすもよし
恋歌を牌を投げ出すやうに投げ明日なき身やもやつすものがな
吐き出すももののあはれとふき出せばにきびのやうな恋歌となり
つぶせどもこんこんとわく白き膿みああ青春の面差しなるかな

投稿者 Blue Wind : November 21, 2003 02:30 AM
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