September 17, 2003

まだ自分4割

佐々木幸綱さんの言葉には励まされるなぁ・・・
現代短歌を定義する際に、あっさり個性の重要性から始めている。
そして、歌を理解するためには、最初に自分で一首でもいいから詠んでみること、そして、ご自分の経験として、次のように語っている。

「百首つくると多少面白くなる。三百首つくると自分の言いたいことが、短歌形式で多少言える気がしてくる。五百首つくってやっと、自分の心が他人にわかってもらえるようになる。本当に面白くなるのはここから先です。」(『短歌に親しむ』より)

そのように書かれているのを読んで、実際、自分がある日突然(2001年2月5日)に詠み始めて、データベースの数字などを眺めながら、気持ちを振り返ってみたりすると、本当の意味で短歌が面白くなったのは500首を越えたあたりからだったのではないかという気がする。

1000首を越えたあたりから、ぼちぼち自分のカラーというものが出始め、2000首を越えてようやく、歌の醍醐味を感じるようになる。
最初は面白半分だったのに、次第にそれでは物足りなくなってきてしまう。
結社へ入ろうと思ったり、あれこれ古典や現代短歌などを読み漁るようになったのもこの頃だし、2500首を越えてようやく自分が歌人の端くれであるという自覚が生じてきた。

それはまだ混沌としたままであり、未熟な自分が徐々に姿を現しつつあるような不思議な感覚だ。

なんせ、作歌歴10年20年・・・50年以上という世界だから、自分のようにまだ詠み始めて2年半程度では入門者だ。
オンするとCGI、外出する時にはメモを片手に、という生活になってしまうと、すでに生活と短歌は切り離せないものとなっていることに気が付く。
それでもビギナー。

それならもっと早くから詠み始めていればよかった?
いえいえ・・・
決してそんなことはなく、自分という人間と付き合いの長い自分としては、いかに自分が気分屋であり、てきとーな人間であるかを熟知しているために、気分の乗らない頃に何かをやっていても長続きしないことは最初からわかっている。
ましてや、大学で専攻してしまったりしたら、どちらかといえば、学究肌なので、自分で詠むよりも研究するほうが面白くなってしまったような気がしてしまう。

佐々木さんの著書が面白いのは、歌人としてではなく、どこか根底に和歌というものを知りつくした人の目を感じるからかもしれない。
それこそ古典から現代短歌までありとあらゆる舞い散る言の葉を眺めては拾い上げ、それを感性と学究精神により、簡潔ながらも歌の要を得ているからだと思う。

これはうまく説明できないなぁ・・・
目が違う。

何冊か歌人の人たちの書いた入門書などを読んでみたけれども、何となく読めば読むほど要点から遠ざかっていってしまうような混沌とした気分に陥ってしまうのだけれど、佐々木さんの場合は要点しか書かれていない。
どこが違うかといえば、歌人というのは一人の世界だから、一生懸命に自分の歌つくりの精神をいうものを理解してもらおうという姿勢が勝ってしまうのかもしれないし、自分の属している世界観というものから切り離しては語れないのかもしれない。
が、しかし・・・
ある意味、和歌なら和歌を一つの学問として突き放してしまうと、結社がどうたらこうたらとか、どういう歌がよいとか悪いとかなどは意味がないことに気が付かされる。
何というか・・・流れがあり、その歌の流れの中でさまざまが歌人たちが今の歌を作り出していこうというさまざまな試みすら分類し、識別し、鑑賞してしまっているというか、視点があまりにも自分などとは違うために、スカッとするのよね・・・
俵万智さんを世に送り出したのも彼がいたからなのかもしれないし、ダイナミックな気分になってしまう。

いつの時代の歌でもよい歌はよい。
選歌の目がよい。
センスの問題なのかもしれないし、いろんな歌を見つけてくるなぁ・・というか・・・
読みを知ることにより、自分の作歌のセンスと視点が変化する。
「この歌、いいだろ?」
と言われて、素直に納得してしまえるセンスというか、ある意味、歌マニアの世界なのかもしれないし、そういう意味ではうちのダンナなどは和歌などには興味がない分、厳しいよね。
生きているうちに白黒はっきりさせろという・・・
家で、もちょもちょ詠んでいないで、堂々と外へ出ろというか・・・
相対的価値観で生きる人ではないから、素直なんだろう。

詠んでも詠んでも舞い散る言の葉・・・
しかも、自分の歌なんてわからんのに、勝負しろという・・・

一つわかっているのは、まだ磨きが足りないということかな・・・
まだ自分4割。
もう少し身を削る必要がありそうです。

投稿者 Blue Wind : September 17, 2003 12:11 AM
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