薫葉豊輝(かおるは ひろき)さんのリクエスト?にお答えして、島田荘司さんの書評を書こうかと。コメントでは書ききれないから。ブログ系ミステリー作家というのがどういうものが存じ上げないのですが、島田荘司→司凍季→薫葉豊輝と流れなんだなぁ・・と何となく感じたので。
「島田ミステリはどの辺に惹かれたのでしょう。私の読み方は狭いだけに、別の視点も聞きたいと思いまして。」(薫葉)
ぐたさんにネタふりしようかと思ったんですけど、島田荘司さんなので、ここは踏ん張ろう。だって、読んだ小説だけでも以下の通りなんですもの。よく考えたら、未読本を挙げたほうが早い。
著者: 島田 荘司
タイトル: 占星術殺人事件
タイトル: 異邦の騎士
タイトル: 踊る手なが猿
タイトル: 火刑都市
タイトル: 暗闇坂の人喰いの木
タイトル: 御手洗潔のダンス
タイトル: 御手洗潔のメロディ
タイトル: 灰の迷宮
タイトル: 御手洗潔の挨拶
タイトル: 切リ裂きジャック・百年の孤独
タイトル: 斜め屋敷の犯罪
タイトル: 漱石と倫敦ミイラ殺人事件
タイトル: 北の夕鶴2/3の殺人
タイトル: 眩暈
タイトル: 龍臥亭事件〈上〉
タイトル: 水晶のピラミッド
タイトル: アトポス
タイトル: 出雲伝説7/8の殺人
タイトル: 消える「水晶特急」
タイトル: 毒を売る女
タイトル: 寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁
タイトル: 展望塔の殺人
タイトル: 奇想、天を動かす
タイトル: 龍臥亭事件〈下〉
タイトル: 羽衣伝説の記憶
タイトル: 飛鳥のガラスの靴
タイトル: 確率2/2の死
タイトル: 天に昇った男
タイトル: Yの構図
タイトル: 幽体離脱殺人事件
タイトル: 新・異邦人の夢
タイトル: 高山殺人行1/2の女
タイトル: 殺人ダイヤルを捜せ
タイトル: 網走発 遥かなり
タイトル: ポルシェ911(ナイン・イレブン)の誘惑
タイトル: 秋好事件
タイトル: 夜は千の鈴を鳴らす―東京‐名古屋駅90秒の謎
タイトル: ら抜き言葉殺人事件
タイトル: 天国からの銃弾
タイトル: 消える上海レディ
タイトル: 死体が飲んだ水
タイトル: 本格ミステリー宣言
タイトル: 見えない女
タイトル: ひらけ!勝鬨橋
一番最初に読んだのが『占星術殺人事件』で、最後に読んだのが『秋好事件』です。どうしてそうやってはっきり覚えているかというと、最初の御手洗潔シリーズがあまりにも斬新だったのと、最後の実在事件を追うという姿勢とがまるで正反対だったので、打ち止めになってしまった。
島田作品を大きく分類すると、御手洗潔シリーズ、吉敷シリーズ、自動車、実在事件、その他という感じなのかな。わたしが一番好きなのは、当然、御手洗シリーズだし、正直、吉敷シリーズは内容自体も忘れてしまっているかも。
しかも、主人公の謎の過去というのがテーマのような気がするし、女性は殺される以外どこで出てくるんだろう・・というのが率直な感想。しかもワトソン的存在の石岡君なんて「記憶喪失だったの〜?」みたいなノリ。謎に包まれた主人公というのも魅力の一つかもしれないですね。
子どもの頃、ホームズは本当に存在したのではないかと思っていたわたしとしては、どうしても名探偵という言葉に弱い。密室とかトリックという言葉にも弱い。何をもってして本格ミステリーと呼ぶかはともかく、奇抜なアイデアや発想が猟奇的な世界をフィクションとしてオブラートで包んでいるようで、作者との知恵比べみたいなところで、わたしはいつも島田さんには負けてしまう。
それと、切り裂きジャックや夏目漱石、舞台が中国からハリウッド、などなど少しずつ離れたパーツが組み合わされて行く手法というのがすごかった。実際に存在した出来事、例えば晒し首の写真が載っていたり、背景のリアリズムもかなりショッキングで、壮絶な悪というものを上手に表現していたような気がします。
ただ、『秋好事件』についてはどうなんだろう。とても長い小説だし、実際に死刑判決が出ており、しかも冤罪、かつ平凡に生きている人たちの存在が裏側にあり、責任という点であまりにもリアリズムとかったるさと社会的無関心と現在進行形ということで、わたしは一歩引いてしまった。
実在の事件でも100年以上昔の出来事と今とでは重みが違う。作家というのは警察官でも検察官でも弁護士でもなく、はたまた新聞記者でもなく、どこかそういう非現実的なストーリーテラーであることを作者に望んでしまうのは読者の側の身勝手?
こうやって書いてしまうと月並みなことばかり・・・
ただ、巨大なジグソーパズルの最後の1ピースをカチッとはめこんだ時のような爽快感は、島田作品の飛びぬけて面白いところ(だった)。
投稿者 Blue Wind : March 4, 2005 11:21 AM | トラックバック