ブドウ糖てのひらのうえ舐める犬パソコンのうえ飛び乗り歩く
システムの復元してはパソコンは儚い箱と子犬のワルツ
犬二匹”中学生と赤ん坊”ふりまわされてひねもす終わる
マリちゃんを預かりますと電話あり一ヶ月では無謀な企画
犬の年考えてみて二ヶ月の短きなかにランドセルあり
あと少しあと少しだと考えて子の育つ日々いつまでつづく
ホセア書 7. 13-16
まどろみにクレモンティーヌ流れれば二言三言青いため息
権威主義尺度にかえて測っても意味なき月日いつの世もあり
白い空暮れゆく時間流れればひかり眩き道を走りぬ
道断のしるしをながめ一つ前左に折れる迷子みちかな
10年を似たような道走りゆきいまだ見知らぬ道あらわれる
慣れたみち苛立つ想いかかえてはラジオを消してマリの鳴き声
外出をさせてもよいか迷いつつ動物病院直走り行く
着替え持ち母の病室おなじみちのんびりと待つ信号の色
せかせかと老いと若きと赤ん坊時の流れはイネガリテかな
闇のなか紫色に光りたる気象観測しているオブジェ
ふゆひかる紫色の雲間よりみちゆくオブジェ宇宙を眺め
詩編 102. 24-25
神の世の永遠の時刻むなら今ひとときの吾のひととき
砂粒に生まれ流され砂浜に置かれた砂は弧を描きゆく
ちっぽけなタームのなかに生きるならしゃぼんのようなひねもすとわれ
ふうわりと浮んだ雲の数なんて数えてむなし言の葉のよう
舞い散れと言わんばかりに白い空浮んで闇はしづしづと来る
言の葉をカウントしてはCGI回っているけどマリのあしあと
入力もおかしくなったパソコンはヘルプでさえも検索できず
ぼんやりと一人の時間コーヒーをアイスにしたりホットにしたり
子が一人犬が二匹のひねもすは騒々しくも冬空の下
子育てが終わって祖母は本ばかり読んでいたなとちいさな自由
もう一度おとなになったわたくしは祖母のとなりで本を読みたし
りんさんは何がしたいと問われてもちっぽけな夢儚くも夢
エゼキエル書 26. 1-6
またティルスか。
やっぱ、マリちゃんを二階でひとりぼっちにしておいたのが間違いなのよね。ほかの犬と接触させないでください、か。オトを閉じ込めるわけにもいかないし、わたしは日中ひとりしかいない。マニュアル通りには行かないって・・・悩む。