November 18, 2004

子ろば乗りてくてく歩く石畳うつむいてろばてくてく歩く

子どもなら飛べるんだなと柵のない屋上のうえ空飛ぶ絵の具
豪快に飛んでくれたかまほちゃんは小鳥の目線空に飛びこみ
風は吹く低き山並みながむれば小鳥のように子は飛び跳ねる
炎天に焼かれて吾は疲れ果つ子は山のうえ飛びまわる鳩
ゆくみちを鳩のロザリオ掛けたれば子は教会に招きぬポリス
軽がると魚のように泳ぐ吾子夕暮るる浜砂の城あり
地中海白い道あり海のうえ歩いてもなおますぐにひかり

豪快に空飛ぶ小鳥ながむれば老いたる吾をしみじみと思う
空高くながむる星は遠かりしすみわたる空くっきりと星
飛行機の点滅さえもくっきりと深まる秋はすみわたる空
雲のなか白く隠れてお月さま空すみわたり星と飛行機

自由とは子どものものと空の月飛行機の横ならんで浮ぶ
素直ってよいものなんだとしみじみと庭の囀り朝のあいさつ

馬車の音高らか響く窓の下朝を迎えりフィレンツェの駅
石畳いくつ歩いて美術館パン持ち歩く吾子の手を引き
ながながき列を並んで美術館鳩の溜まりで一休みする
自由って空飛ぶ鳩のあつまりし木陰のベンチ炎天の夏
自由って走るのやめて立ち止まる馬糞の落ちたフィレンツェの道
ぱかぱかとお馬は走る石畳”アテンショーネ”と高らかな声

ゼカリヤ書 3. 9-10

やわらかな磯の香りを求めては海に潜りきあわい潮風
きらきらとうす暗がりの浜辺には砂の城掘る子らのたわむれ
「レベッカ」と呼ばれて彼は女の子大きな父と小さな娘
夕暮るる白い光のいづる道逃げて追わるる浜辺の散歩
音のない落雷に似し潮風は磯の香りもなかりき海辺
しづしづとひねもすはゆききらきらとひかる海には白い風吹く

夢ひとつかなえてくれた吾子の絵に希望の風は空を飛び吹く
くるりんとほっぷすてっぷだんすしてみちを歩きぬわが子がふしぎ
羽はえてうさぎも空を飛び跳ねるここちがするか三日月の夜
子どもなら鳩の羽さえ軽がると風に飛ばして風にとけゆく
豪快にしっぽまわして吾子を待つ写真屋の犬坂道に寝る
ピザの犬ジェシカ一番可愛いといつの間にやら名を呼びし吾子

老人が隣に座りアイス食む呼ばれて妻はカフェの椅子居る
教会の階段のうえ座りたる若者のなか子と並び居る
カフェの椅子二人並んだ若者を日本人だと眺めてみては

マタイによる福音書 21. 5

子ろば乗りてくてく歩く石畳うつむいてろばてくてく歩く

老いたろばねこ。

投稿者 Blue Wind : November 18, 2004 05:06 AM | トラックバック
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