October 14, 2004

炎さえ熱き冷たき色なれば透明な風ゆれる光よ

雨の中救急外来入り口で弟みつけ白衣は夫なり
張りつめたこころの糸のするするとわが手を抜けて衣となりし
祖父の顔見つけたような母の顔寝たきりにしてよく似て悲し
厚き爪黄色になって伸びゆくかいかに切ろうか悩んでみても
瞳孔の閉じた片目でわれを見る母の声さえ忘れてながく
タオルさえ何枚あると数えても数え切れない月日はながく
緊張は幾重に流れほっとするのんびりとした雨は降る降る

母の顔を見たらほっとしてよく寝てしまった・・・

酸素すら足りないからと首に孔ぎりぎりにして息はつづきぬ
喉からは食べられないと胃に孔の開けられたままお食事時間
生きるってつらいことだと思っても片目の中でわれをみつけり
野の花の咲く季節かな今はまだ枯れ果つるには陽はまぶしくて

ペンギンは身の丈あるとおばかなり信じてた頃しのびぬ絵本
メルボルン別れた頃の記憶かな父生きし頃母生きる今
残骸に積まれた月日愛しけれ瓦礫の中に埋もれる吾

雨の中置かれた旗のたたずめば子らを見送る明るき朝よ

エゼキエル書 5. 5-13

激情のながき月日のみじかけれ逃げて逃げては母を迎えり
父の死を迎えて春はいづこへと話すことさえ逃げるが先と
退廃はハイエナどもの餌の跡丘を登れば空は広がる

残骸はあらしあらしとおかしけれ笑ってやるもむなしき秋よ
過ぐ夏はあらしの歩く敷島か離れて秋は涼しげにあり

ひねもすはアコースティックに流れゆくギターのような気ままな調べ
隠れ家は点滅信号ながむれば立ち止まりたる人もなき道
音はゆく音は止まってまた走る規則正しい交差点かな
ブレーキの甲高き音流れれば勢いのあるひとつの発進
雑踏はひけゆく波の押し寄する浜辺のようなひとつの規則

詩編 119. 41-48

みことばに小指一本引っ掛けてあきらめゆかば激情の壁
炎さえ熱き冷たき色なれば透明な風ゆれる光よ

酷いこといっぱいしてるよ神さまはあなたはなぜに神に言わない
酷いこといっぱいしてるよ神さまはどこ吹く風で酷いやつかも
酷いこといっぱいしてるよ神さまは怒ってみても子どもの落書き
酷いこといっぱいしてるよ神さまはなんでわれらは悪者なのさ
酷いこといっぱいするのが神さまと気がついたなら地球はまるい

詩編 65. 6-11

酷いこといっぱいするのが神さまと気がついたなら青青き空
酷いこといっぱいするのが神さまと気がついたなら怒り空しく
酷いこといっぱいするのが神さまと気がついたなら今をよろこべ
あきらめて夕べのうちにとどまれば朝が来るには早すぎるかな
酷いこといっぱいしているよ神さまはみひかりのうちかなしき大地

エゼキエル書 26. 1-6

信号の点滅せしを眺めては音の流れを知るばかりかな

投稿者 Blue Wind : October 14, 2004 01:43 PM | トラックバック
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