May 10, 2004

死ぬこともゆるされぬ母ひとりきりチューブの食で細々生きる

現実は寝たきりの母言葉すら空しきものとただ生きるだけ
寝たきりの母が元気な夢の中われは若くて反抗がちで
そばにいて幸せだったことはない癒しなき母遠い昔か
母となり素直に吾子を愛するを喜んでいる他愛なき吾
母の日は素直な吾子に癒されしカーネーションは夫が買い求む
母はまた世を去りてゆきわれもまた吾子もまたゆくかえすがえすも

ヨブ記 14. 13

死ぬこともゆるされぬ母ひとりきりチューブの食で細々生きる
死ぬこともゆるさなかったわたくしはしがみついてはにげだしている
死ぬことも生きることさえできぬまま日はうつろえば吾子はそだちぬ
手厚くもあらゆる危篤のりきらば母は苦しみわれは礼言う
みなさんは本当によくしてくれる。それが悲しき絶望の部屋。
運命は複雑な糸からませて母は苦しみ子らを待ちたる
痛みすら覚えぬことを母のため喜んだとて苦しみの息
心臓の何度止まったことだろう。それでも母は生きて苦しむ。
生きていることさえ忘れ去られしも必死に生きる母は呼吸す
肺炎で酸素マスクに変えますと業務連絡鳴りゆくばかり
マニュアルは正しくもまた人の死を機械にゆだね最善の手技

ルカによる福音書 12. 54-56 時を見分ける

死ぬこともゆるされない時代。

わがいのち誰に預けて生きるかと問うも虚しき吾死ねるのか
永遠のいのちむなしきいちじくは造花のごとくたたずんでいる
枯れもせず生きるもむなしいのちかな淡々として足跡かろく
鮮やかなカーネーションは白百合を華やかにして母の日飾る

ヤコブの手紙 1. 18

霧の中ゆっくりとした退廃は言の葉のない人をつくりき
偽善者よいのちいのちとわめきたて言の葉奪い偽りの愛
死の予算のんびりたてるヒマな主婦死ぬまでの日を案じてやまぬ
雨の日は何もせぬとてサフィニアは天のめぐみをプランターに受く
飢餓の子は飢えに苦しみ老人は薬に苦しみ生死の過多よ

箴言 13. 23

投稿者 Blue Wind : May 10, 2004 03:35 AM | トラックバック
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