May 09, 2004

あらくさの匂いの中にしづみゆくかいよす熊手吾子のてのひら

まぼろしのひろがりゆくかステファンのゆうゆうとした音に陽はしのびおる

庭しごと明け暮れた日は夕暮るる椅子に腰掛け朽ちたブランコ
枯れ枝の棒を拾いて十字架を不意につくりし吾子に驚く
あらくさを積み重ねては踏みゆかば夕暮るる薔薇色濃くなりゆ
芍薬の蕾立ちたる木陰には深き緑の静寂ありき
あらくさの匂いの中にしづみゆくかいよす熊手吾子のてのひら

ルカによる福音書 19. 41-44

少しずつ御子のてのひら借りるようブルーベリーの木の育ちゆく
ささやかな実をつけるかなブルーベリー忘れてしまった名を呼んでみる
植えたこと忘れた頃に育ちゆくマロニエの木の涼しげな葉よ
育ちゆく木々の速さに驚かば朽ちるブランコゆっくり外す
わたしにはわたしのためのアンブレラ吾子のためなるブランコありき
わが庭は朽ちたるものの多けれど育ちゆく木が日よけとなりき
突風であなたは傘を破壊した。なんどもなんども破壊した骨。
突風であなたはブランコ転がした。春一番と皆はいうけど。
台風に驚きもせぬブランコは気まぐれな風に転がり沈む
芝のみちあなたは消した。ヘデラみち大きな葉らの木陰を埋めゆ。
ミモザ葉よかろき枝など気まぐれに植えた日々さえ木陰に沈む
ささやかに水やる日には枯れ草のつもれる庭は雨だに生きる
サフィニアのゆっくりと咲くプランターわが手を離れ庭にしづもる

詩編 140. 7-8

幼き日記憶の砂の落つる音いつもあなたはそこにいたのか
蒲公英のくびかざりさえあの空へさしだすならばあたわれた春
クローバー花咲く日にはうららかにレンゲの蜜の味する春よ
夕暮るる空が茜に染まるまでわたしの時間しづかに過ぎる
氷柱さえ陽を浴び光るきらきらときらきらとしてどさりと落つる
ゆっくりとうつろう日々はゆくすえのわからぬ日々を悲しくかたる
華やかな街の光は美しくオリンピックは街を変え去る
幼き日母がまもった東京も見知らぬ人の過ぎゆくばかり
幼き日夫が育った神戸すら見知らぬ景色過ぎゆくばかり
夢にみる鳩のいる寺いづこかと母に尋ねてもはやわからぬ
幼き日記憶の砂に埋もれては落つる音さえもはや聴こえぬ
ふるさとを尋ねられてもわれらには迷子のみちのさししめす園
ノマドとはわれらのことかと遊牧はうつろう日々をなつかしく思う

ローマの信徒への手紙 2. 28-29

エルサレムをみて、彼は泣いた。悲しみの歌。

詩編 38. 22-23

聖霊の白き光のまばゆくば白い花々ひねもす咲かす
明日のこと今日のことさえ過ぎゆかば白き花さえいづこにか咲く

コロサイの信徒への手紙 1. 14

投稿者 Blue Wind : May 9, 2004 02:18 AM | トラックバック
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